韓国で再びウォン安が続いており、24日のソウル外為市場で1㌦=1516・30ウォンをつけた。通貨危機直後の1998年3月13日の1㌦=1521・00ウォン以来、10年11カ月ぶりの安値となった。世界的な景気悪化による金融不安再燃を受けてのウォン下落であり、市場介入を控えていた政府も急変動する外為市場の緊急点検に乗り出した。
尹増鉉(ユン・ジュンヒョン)・企画財政部長官、李成太(イ・ソンテ)・韓国銀行総裁、陳棟洙(チン・ドンス)・金融委員長、尹鎮植(ユン・ジンシク)・青瓦台(大統領府)経済首席秘書官らは24日、経済金融対策会議を開き、世界的な通貨変動、株安など国際金融市場の動向を点検した。急激なウォン安が経済に及ぼす影響についても対策を協議。
企画財政部関係者は、尹長官は為替変動について、できるだけ市場に任せる立場を取っているだけに、積極的な市場介入などはないとしながらも、外貨の円滑な国内流入に関しては策が講じられるだろうと語った。現在、政府当局は外国為替平衡基金債券の早期発行、米国国債を担保とするドル調達、海外投資家や在外同胞の国内投資拡大誘導などを検討している。
ウォンの対ドルレートは、昨年11月24日以降ウォン高に振れたが、年末には1㌦=1250ウォンを記録、新年に入ってウォンの安定基調が続いた。ところが、今月10日から連日ウォンが下落、ついに1㌦=1500ウォンを突破、対円レートも一時100円=1600ウォンをつける異常な変動をみせた。
再びウォン安に見舞われているのは、世界的実体経済の落ち込みが大きく影響している。また、国際金融市場で最近、東欧諸国がデフォルト(債務不履行)に陥る懸念が高まっていることも大きい。1兆7000億㌦の対外債務を抱える東欧国家が破たんすれば、最大の債権者である西欧の銀行も崩壊し、第二の金融危機に発展する可能性がある。このため、欧州系銀行を中心に世界的なドル買いが起きている。
韓国株式市場でも外国人が9営業日合計で1兆5000億ウォン以上の株式を売り払った。さらに日本の銀行が3月決算を控え、融資を引き揚げ、韓国の金融市場が混乱に陥る可能性があるという「3月危機説」が広がっていることも、為替不安を増幅させている。
しかし、こうした点を考慮しても、最近のウォン安は行き過ぎの面がある。ウォンの価値は年初来17%下落した。ポーランド、ハンガリーなど最近問題視されている国の通貨より大きい下落率だ。韓国の外為市場が小さな衝撃にも揺らぎやすく、相場が大きく振れてしまうという問題点が再び浮き彫りとなった格好だ。
どのような対策を講じるべきなのか。人為的介入には副作用がある。政府は経済・金融状況を的確に把握、いつでも必要な措置を取る準備ができているという信頼感を市場に与えることが大切なようだ。銀行に公的資本を注入するとの発表はその意味で効果が期待される。企業の構造調整もスピードアップし、国内の不安要因を解消することも急がれよう。
3月危機説に関しては、企画財政部の許京旭第1次官が、ソウルで開かれた韓日金融協力セミナーで、日本の銀行は3月決算を前に韓国から融資金を回収しない方針を決めたと全面否定した。同志社大学の鹿野嘉昭・経済学部教授も、日本の銀行は増資を通じ経営基盤は安定しており、自己資本不足を補おうとアジア戦略を見直したり貸付を回収する事態は予想し難いと説明した。
国内銀行の円建て借入は総額130億㌦程度(海外店舗の借入含む)で、このうち来月に満期を迎えるのは10億~20億㌦とされる。