低炭素グリーン社会へ向けての青写真が提示された。政府は16日、李明博大統領主宰で、大統領直属のグリーン成長委員会第1回会議を開き、「低炭素グリーン成長基本法制定案」を今月末までに国会に提出することを決めた。法案が制定されれば、グリーン金融・グリーンファンドを設立し、有望なグリーン産業と技術に対する民間投資拡大を支援する。また、先進的な低炭素生活の定着化のため、サマータイム制の早期導入も決めた。(3面に関連記事)
早期制定をめざす基本法は、8章63条からなり、グリーン成長国家戦略が包括的に盛られている。グリーン金融・ファンドの設立のほか、グリーン産業・技術の育成と支援を通じた国際競争力向上と雇用創出、化石燃料の輸入依存度軽減、温室効果ガス削減などに対する目標管理制の導入、排出量取引制度の導入根拠作成、エコロジー税制の推進などを規定している。
会議ではまた、上半期(1~6月)中に低炭素グリーン成長の基本指針となるグリーン成長国家戦略を策定し、これを執行するための5カ年計画を作成することを決めた。中央と地方にはそれぞれ局長級のグリーン成長企画官を置き、機関別グリーン成長政策を総括させる方針だ。
グリーン成長を効果的に推進するため、新成長動力の拡充、暮らしの質と環境の改善、国のあり方定立を3大分野に定め、脱石油・エネルギー自立の実現、グリーン技術・産業の新成長動力化、グリーン雇用創出と人材育成、生活のグリーン革命など10大課題を選定した。
具体策をみると、まず2030年までに世界初となる国家レベルの知能型電力網を構築する。これはITを活用して供給者と使用者が双方向で情報を交換、エネルギー効率を最適化する次世代システムだ。今年中にロードマップを作成する。知識経済部関係者は、「すべての電力網を知能化できれば、全体の温室効果ガス排出量の4・6%の2700万㌧を節減できる」と語った。
また、オフィスのグリーン化へ向け、公共部門の白熱電球を年内にすべてエネルギー効率の高い発光ダイオード(LED)に交換する。15年までに国内の全照明機器の3割をLEDで代替する計画だ。だが、LED価格は白熱電球や蛍光灯に比べ3~10倍高いため、技術開発による価格引下げが急がれる。
自転車利用活性化策も注目される。これは、2018年までに1兆2456億ウォンを投じて全国自転車道路ネットワークの構築、自転車専用道路制の導入などを進めるというもので、自動車、バス中心の大衆交通網を自転車に転換する野心的な試みだ。5月初めに全国自転車大会を開く。4大河川改修事業が完了する12年にはツール・ド・コリアを開き、自転車の普及を進める。自転車産業を育成し、ハイブリッド自転車の開発も推進する。
一方、サマータイム制導入については、特別班を設置して来年夏の実施をめざす。
政府関係者は、エネルギー自立度やグリーン技術水準、環境パフォーマンス指数(EPI)などを2030年までに世界10位内の先進国水準まで高め、「グリーン国家」のイメージをアピールしたいと強調した。
グリーン社会実現のためには、グリーン産業・技術の育成が必須だが、環境を重視する国民の意識改革も求められる。今回の政府の青写真をもとにより実践的で効果的な内容になるように議論を重ねる必要がありそうだ。