政府は8日、李明博大統領主宰で官民合同会議を開き、前政権以来の懸案となっていたサービス産業先進化対策を確定した。対象となったのは医療、教育、物流、コンテンツ、放送・通信、コンサルティング、デザイン、IT(情報技術)サービス、雇用支援の9部門で、付加価値、雇用、成長可能性、サービス収支改善効果などが考慮された。規制緩和と政策支援で、競争力強化を図る計画だ。だが、この間論議を呼んでいた営利を目的とする医療法人の許容可否については結論を先送りした。
李大統領は、「わが国のサービス産業が全産業に占める比率は高くみえるが、自営業が20%を占め、実質的な構成比率は先進国に比べて低い。サービス業に対する認識を改め、サービス業の先進化を急がなければならない」と強調、サービス産業への支援を表明。放送やITサービスなど成長の可能性が高く雇用創出につながる業種は、今後税制や財政面で製造業並みに支援されることになった。
まず医療部門。ダイエット、栄養、禁酒、禁煙など健康増進のための教育・相談などを提供する健康管理サービスについて、特別法を制定して法定サービス業に指定し、民間企業の参入を許容する。2011年施行の予定。同市場の成長可能性は高いが、現行の医療法上、健康管理サービスを提供しようとすれば、無免許医療行為として処罰対象になる。
最大争点である営利を目的とする医療法人(投資開放型)の許容可否については保健福祉家族部が強く反発、再調整して11月をメドに結論を出すこととなった。関係団体には、低所得層のサービス低下を招く恐れが強いなどとする反対論が根強くある。
医療と並び最も関心が高い教育部門では、外国教育機関の設立・運営要件が緩和される。特に今回、外国教育機関による決算上の剰余金の海外送金を認め、事実上、学校運営による収益創出の道を開いた。しかし、現行法では、営利法人の学校許容を認めていず、利益は再投資しなければならない。今回の措置は限定的だ。
また、経済自由区域内の小・中外国教育機関の韓国人入学比率を緩和する。仁川・松島など経済自由区域にある外国人学校の内国人入学比率は、在学生の30%(開校5年後には10%)となっているが、今後は基準を在学生から定員に変え、定員100人の場合は、外国人生徒が一人もいなくても韓国人は30人入学できることになる。
物流部門では、零細企業による物流を強化するため、高速道路通行料の夜間割引や燃料費の補助金支給期間を延期する。
コンテンツ産業の活性化に向けては、下半期に文化体育観光部と検察・警察で特別チームを構成し、違法コピーの取り締まりに重点をおく。
放送・通信サービス市場の拡大に関しては、地上波のようにケーブルテレビが多様な番組を編成できる新規の総合編成プログラム提供業者(PP)を年内に選定、通信網や設備のない業者も通信市場に参入・競争できるようにする。
デザイン部門は、知識集約型高付加価値産業とみて、専門人材の育成を支援する。デザイン大学の設立も推進する。コンサルティング部門では、コンサルティング企業の大型化を誘導して競争力を強化する。クリーンエネルギー、ソフトウエアなど8大専門分野で1200人の専門人材を養成する。ITサービス部門は、中小IT企業に対する支援を強化するため、売上高8000億ウォン以上の大企業が参加できるITソフトウエア事業規模を20億ウォン以上から40億ウォン以上に調整する。
サービス業の先進化は、盧武鉉前大統領が就任した03年から政策方針として打ち出された。この間数回にわたり試案が作られ、李政権になっても昨年9月に対策案がまとめられた経緯がある。だが、最終案がなかなか決まらなかったのは、医療・教育など国民生活と密接な分野が多く、利害関係も大きいからだ。今回も一部先送りになったが、十分検討を重ねて国民の納得のいく合意を図る必要がありそうだ。