世界的な不況の深刻化を防ぎ、金融システム再構築へ向けたG20(主20カ国・地域)首脳会議(金融サミット)が2日、英国のロンドンで始まった。今回のサミットの共同議長国でもある韓国の李明博大統領は、世界各国で広がり始めた保護貿易主義の阻止を力説。昨年11月にワシントンで開かれた第1回金融サミットで合意した保護貿易阻止のための「スタンド・スティル=新たな貿易障壁の導入禁止」が徹底して守られるように求めた。
今回の金融サミットで韓国は、英国、ブラジルとともに共同議長国として会議をリードする立場にある。ブラジルは昨年、英国は今年、韓国は来年の議長国であり、この3カ国は「G20のトロイカ」と呼ばれている。
韓国は当然、昨年の第1回サミットより、その役割が大きい。
李大統領は演説で、金融危機克服と世界景気浮揚には各国のマクロ経済政策の協調が必要だと指摘。韓国が1997年に見舞われた通貨危機の克服経験を伝え、金融機関不良資産の効率的な除去策などを紹介した。
李大統領は特に、各国で浮上し始めた保護貿易主義の阻止に向け全力を入れる姿勢を鮮明にし、「世界経済が同時に危機を脱するには必ず保護貿易主義を排撃しなければならない」と主張。「1930年代の世界大恐慌に見るように、保護貿易主義はさらなる保護貿易主義を生み、結局危機克服を困難にする」と過去の教訓を想起させた。
今回の金融サミットには、韓国などG20メンバー以外にスペイン、オランダ、タイなどの首脳のほか、国連、IMF(国際通貨基金)や世界銀行など国際機関代表も出席。昨年の第1回サミットの合意事項の履行状況を点検すると同時に、各国のマクロ経済政策協調、金融市場安定確保、国際金融体制改編・金融規制など世界的な金融危機克服に向けた国際的な協力策を協議。
保護貿易主義の阻止では、昨年の第1回サミットで、今後1年間保護主義的措置をとらないことに合意した。ところが、その後各国で保護主義的な措置が相次いでおり、この阻止が大きなテーマに浮上。韓国や日本、ドイツなど貿易依存度の高い国はすでに貿易縮小により大きな被害をこうむっており、保護主義阻止は死活問題となっている。今サミットで改めて保護主義排撃を確認することは需要だ。
今回のサミットでは、欧米の対立がみられた。先月のG20財務相・中央銀行総裁会議で米が、GDP比2%の数値目標付き財政出動を要求したが、フランスやドイツが反発した経緯がある。EU(欧州連合)の財政収支均衡という目標があり、急激な財政悪化を警戒しているからだ。韓国や日本、中国は景気刺激のための財政出動に積極的で、米主張に近い。ドイツの有力紙は最近、「韓国の景気浮揚策は最も親環境的」と報道。財政出動に際しても、使途が重要になっている。
また、金融危機再発防止のため、ヘッジファンドなどに対する規制強化についても欧米間に溝がある。米国は、「各国当局が自国の金融機関の監督に責任をもたなければならない」との態度だ。これに対して英国を除くEU側は、統一規制の下、国際的な監督機関設立を含む規制強化が必要だとしている。
こうした中、未曾有の経済危機を克服するため、国際的な協調が必要であることに各国は共通認識を持っており、具体的措置をめぐり議長団の采配も注目されている。