ここから本文です

2009/09/04

<総合>韓日が連携して新時代築こう

  • 韓日が連携して新時代築こう

    6月5日、青瓦台を礼訪した鳩山由紀夫代表(左)と会談する李大統領。今月24日のG20首脳会議で首脳同士として再会することになる

 総選挙で圧勝した鳩山民主党政権が16日誕生する。韓国では、新政権誕生を控え「新たな韓日パートナーシップ」を期待する声が強い。李明博大統領は、衆議院選挙での民主党の勝利が決まった先月31日、鳩山由紀夫代表に真っ先に電話を入れ、「圧勝を祝う」と伝えた。鳩山代表にとって外国首脳との電話会談はこれが最初だった。与野党もこぞって民主党政権への期待を表明した。歴史認識問題などの懸案解決へ前進するとの期待が大きい。経済的にも環境や福祉関連などで協力が拡大するとの見通しも出ている。

 李大統領は電話会談で「韓国と日本が連携し未来へ進むきっかけにしたい」とし、鳩山代表の「友愛の政治哲学」に触れながら「韓日関係が新たな時代を開けるものと期待している」と述べた。鳩山代表は「民主党は歴史を正しく見ることができる政党だから、李大統領と私は必ず前向きな韓日関係を実現できるだろう」とし、「友愛の精神に基づき、より緊密に協力していきたい」と語った。

 また、北朝鮮政策について「核問題や拉致被害者問題の解決に向け、韓日米3国が緊密な連携を取ることが重要だ」という認識で一致した。電話会談は20分間にわたって行われた。

 実は、李大統領と鳩山代表は今年6月5日に青瓦台(大統領府)で会談していた。大統領を表敬訪問したいという意向を受けての突然の会談だった。当初10分ほどの予定を20分もオーバーした。

 鳩山代表はこの会談で「日本の政権交代が実現すれば、日韓関係をより一層深めたい。李大統領とも個人的な信頼関係を築きたい」と率直に語ったという。

 鳩山氏は、民主党代表になったばかりで、代表として初の外国訪問先に韓国を選んだこと自体に特別なこだわりが感じられた。それが、李大統領の会談で、「深い交流」への意思表示となったようだ。李大統領は鳩山氏について「話が通じる人」という印象を受けたという。

 政界の反応も好意的だ。金炯旿(キム・ヒョンオ)・国会議長は「日本の政権交代でアジアで新しい秩序が形成される」とし「韓日関係も新しい関係が築かれる」という見方を示した。与野党も「新しい政府・与党になった日本民主党は時代の変化と要求に応じた成熟した姿勢を見せるものと期待している」(ハンナラ党)、「日本の国民は新しい政権を選んだことで新しい時代を開いた」(民主党)と論評した。

 韓国の外交専門家らは、民主党の対韓政策にについて次のように分析している。
 
 ①民主党が韓国を重視するのは、最も近い韓国を味方にしてこそ「米国一辺倒からアジア重視」の外交政策を実現できる②靖国神社の参拝をせず過去の歴史問題の解決に積極的に取り組むとしているのも、このような外交政策の一環だ③韓国との関係改善をもとに国際社会で発言権を強めることができると考えている。

 このような民主党の対韓接近は、韓国にとっても好ましいと受け止められ、期待感となって表われているようだ。

 民主党には韓国との人脈がある議員も少なくない。

まず鳩山代表は、2004年8月に民主党の日韓議員交流委員会に所属する議員、仙谷由人氏ら12人の訪韓団を率いて2泊3日滞在。韓国政界の人々と幅広く会い、当時野党だったハンナラ党の朴槿恵(パク・クネ)代表らとも会談した。「音羽御殿」とよばれる鳩山代表の邸宅で、韓日の議員を招いて懇談会を開いたこともある。

 小沢一郎代表代行は、韓国の政治家と幅広く交流してきた経験がある。昨年2月にも韓国で政権交代が行われた後、訪韓し、李明博大統領当選者と会談、韓半島の情勢などについて意見交換した。

 岡田克也幹事長は07年の大統領選で与党の大統領候補だった鄭東泳(チョン・ドンヨン)議員と親密な関係にあるとされる。また、民主党内には日韓議員交流委員会のほか、前原誠司元代表が会長をつとめる「戦略的な日韓関係を築く議員の会」も組織されており、対韓交流のチャンネルはそれなりにできている。

 韓国側が民主党政権に特に期待をかけているのは、過去の自民党政権では超えられなかった「歴史問題の壁」だ。鳩山代表は、植民支配時代を美化する教科書を作る一部日本人の歴史観については強い反感をもっているとされる。韓国のコラムニストの1人は、「安倍晋三元首相が核実験をした北朝鮮に友愛外交は通じないと批判すると、鳩山代表は価値観が違う北朝鮮の体制も尊重しなければならないと反論した」とし、周辺国を配慮するニュージャパン(新日本)の誕生に期待を表明している。 新政権の誕生をきっかけに、過去の歴史を乗り越えて、友好と信頼を土台とする新しい韓日関係が到来するよう両国の国民も積極的に取り組む時のようだ。