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2009/09/11

<総合>国務総理に鄭 雲燦(チョン・ウンチャン)氏指名

  • 国務総理に鄭雲燦(チョン・ウンチャン)氏指名

                      鄭 雲燦 氏

 李明博大統領は3日、新国務総理に鄭雲燦・前ソウル大総長(チョン・ウンチャン、61)を指名し、法務・国防・知識経済・労働・女性部の5長官を交代するほか、特任長官を新設・任命する内閣改造を断行した。先の青瓦台(大統領府)に次ぐ今回の内閣改造で李政権の国務総理に指名された鄭氏は、「大統領を補佐し強い経済の国、統合された社会をつくる」と抱負を語った。

 鄭氏は忠清南道公州出身で、京畿高、ソウル大を経て米プリンストン大で経済学の博士学位を取得。その後、ソウル大経済学部教授、韓国経済学会会長などを務めた経済学者であるとともに、07年の大統領選挙に革新側から出馬が噂された政治志向の強い人物だ。

 青瓦台(大統領府)関係者は、「鄭氏はこれまで経済批評家として、李明博政権の経済政策などについて建設的な案や助言を惜しまなかった。今後李大統領を補佐しながら、各行政部署の力を効果的に結集し、中道実用主義と親庶民政策の実現のため尽力することを期待している」と語った。

 新法務長官には李貴男(イ・グィナム)法務次官、国防長官には金泰栄(キム・テヨン)・合同参謀本部議長、知識経済部長官には崔炅煥議員(チェ・ギョンファン、ハンナラ党)、労働部長官には任太煕議員(イム・テヒ、同)、女性部長官には白喜英(ペク・ヒヨン)・ソウル大教授を任命。政務長官的な役割を主に担当する特任長官には朱豪英議員(チュ・ホヨン、同)が起用された。

 今回の内閣改造では、現政権発足後初めて国務総理が交代するなど、長官交代の幅が最も大きかった。青瓦台の関係者は「『国民統合』と『中道実用』という李大統領執権2期目の目標を実現するための改閣だ」と述べた。

 今回の改閣で、国務総理を含め閣僚は16人から17人に増え、平均年齢は62・4歳から59歳に下がった。内閣のうち、政治家出身は5人に増えた。出身地域別では、慶尚道が5人と最も多く、次いで首都圏と全羅道がそれぞれ4人、忠清道3人、済州特別自治道1人となっている。

 今回の鄭雲燦・国務総理任命は、李大統領としては異例の選択だ。

 鄭氏は、李政権の大運河構想、減税・為替政策などについて鋭い批判を展開。前回の大統領選挙で民主党の候補に挙げられたほど、革新的色彩が強い。

 両氏はそれぞれソウル市長、ソウル大総長時代に定期的に会い、言葉を交わした仲だった。06年初め、鄭総長に対し自分の後を継いでソウル市長選挙に出馬することを勧めたが、鄭総長は固辞した。07年の大統領選の時は選挙対策委員会への参加を要請したが、鄭元総長が断ったため、二人の関係は冷え込んだという。

 今回の選択には、次期大統領戦をめぐり、有力候補の朴僅惠(パク・クネ)氏に対するけん制の意味もあるともみられているが、もう一つの意味は、李大統領が中道実用主義をスローガン倒れに終わらせないという強い意思を人事で示したという点だ。鄭氏は現政権の減税政策に対し、「減税は実際の経済効果なしに少数の富裕層の財産を増やすだけのイデオロギーにすぎない」と批判した。こうした鄭氏を国務総理に任命したインパクトは大きい。

 李大統領は青瓦台首席秘書官会議で、「経験と慣習に依存しない発想の転換が必要だ」と述べており、23回目のラジオ・インターネット演説では、「新内閣は中道実用の精神に立脚し、民生と雇用を政策の最前線に置く。市場の商人らのように一生懸命働く庶民が、夢と希望を持てるよう努力する」と表明した。