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2009/04/17

<総合>現代製鉄・第1高炉、来年1月火入れ

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    親環境切り札、ドーム球場規模の密閉式貯蔵施設も姿をみせた(現代製鉄の建設現場)

 現代製鉄が西海岸の唐津(タンジン、忠清北道)に建設中の一貫総合製鉄所が年内に竣工、来年1月にも第1高炉に火が入る見通しだ。第1期工事の工程進捗率は現在85%で、鉄鉱石を溶かして銑鉄を取り出し中間製品をつくる製鋼など一連の設備はほぼ完成段階にある。また、環境汚染防止の切り札として、世界で初めて建設されるドーム型の密閉式原料貯蔵施設も姿を現し、来年6月に完成する予定だ。専用ドックは13日完成、原料や製品の輸出入インフラは整った。

 現代製鉄の一貫総合製鉄所は、総投資額5兆8400億ウォンのビッグプロジェクトだ。唐津に敷地2438万平方㍍を確保、2011年までに粗鋼年産400万㌧の高炉を2基(計800万㌧)建設するため、2006年12月に着工した。

 経済効果は莫大で、製鉄所建設中に13兆ウォン、運営中には年間11兆ウォンの生産誘発効果が見込まれている。雇用効果も大きい。現在、建設作業に従事しているのは1日平均1万人にのぼる。唐津地区は現代製鉄だけでなく、東国製鋼、東部製鉄、ヒュースティールなども製鉄所を構えている鉄鋼団地だ。ポスコに次ぐ韓国第2の一貫総合製鉄所の建設が始まるや、07年に270社、昨年にも160社と関連中小企業の入居が相次いでいる。

 現代自動車グループはこの一貫総合製鉄所建設に総力を傾けており、最近では鄭夢九会長がソウルの本社からヘリを飛ばし視察に訪れる回数も増えている。

 工事は急ピッチで進んでおり、「環境にやさしい製鉄所」のシンボルとして期待される世界初のドーム型密閉式原料貯蔵施設も完成間近だ。

 この施設は、鉄の原料となる鉄鉱石と有煙炭を密閉されたドーム内に保管することで、原料損失と環境汚染を画期的に減らす効果がある。多くの製鉄所では原料を野外に置くため、雨風にさらされ環境汚染の原因となっていた。現代製鉄はこの施設を3つつくる。1つは直径130㍍、高さ37㍍。残り2つは直径120㍍、高さ60㍍の大きさだ。6月に完成予定で、準備作業を経て9月から原料貯蔵を開始する。

 一方、原料を輸入し、製品を輸出するのに必須の専用ドックはいち早く竣工、「平沢・唐津港鉄原料・製品ドック」と命名された。10万㌧級船舶が接岸できる330㍍の岸壁と20万㌧級が接岸可能な岸壁からなり、大型船舶が一度に接岸可能となった。

 ドック建設費は870億ウォンで、鉄鉱石、有煙炭、石灰石、スラブなど貨物処理量は年間2300万㌧規模。現代製鉄の専用ドックが竣工したことで、唐津地区は既存の3万㌧と5万㌧級ドックを含め4つのバース(船を接岸できる場所)を確保したことになる。国土海洋部関係者は、「唐津地区の鉄鋼クラスターの基盤が構築された」と語り、「鉄鋼関連産業の成長と雇用創出など地域経済発展への寄与を期待したい」と語った。

 現代製鉄の第1高炉が予定通り年内に完成すれば、来年1月から試験稼動に入り、4月には商業生産が可能だ。折からの世界不況で鉄鋼業界も苦戦を強いられているが、現代製鉄の禹惟哲社長は、「製品生産が本格化する来年後半からは景気回復が見込まれるので、収支も改善するだろう」と期待している。