ここから本文です

2009/04/24

<総合>ロボット産業を本格的に育成

  • ロボット産業を本格的に育成

    ハノーバー博で出品された韓服を着てパンソリを歌う韓国製ロボット

 政府は、ロボット産業の本格的な育成に乗り出した。李明博大統領主宰で開かれた第30回国家科学技術委員会で、「第1次知能型ロボット基本計画」を議決、2013年までに韓国を世界の3大ロボット大国にするため、1兆ウォンのR&D(研究・開発)投資を決めた。計画通りいけば、国内のロボット市場は4兆ウォン規模に拡大、世界シェアは日本に次ぐ13・3%(現在8・9%)に高まる。

 教育科学技術部が作成した今回の「第1次知能ロボット基本計画」は、目標年度を2013年とし、ロボット産業を半導体に続く韓国の新たな成長動力として育成するという野心的な内容だ。

 現在、世界のロボット市場の規模はおよそ10兆ウォン。今後10年間で10倍に拡大するとの見通しのもと立案した。韓国が強みとするIT(情報技術)の基盤技術をロボットに応用すれば、今後5年以内に世界3位のロボット大国入りは可能だとみている。

 知能型ロボットの中で特に開発に力をいれるのは機能性ロボット。現在、世界のロボット市場は、工場などの自動化に用いられる産業用ロボットや地雷探知ロボット、清掃用ロボットなど特定の機能を持つ機能性ロボットが主流を占めている。

 例えば、家庭用ロボット業界で世界をリードするアイロボット社は、自社の清掃用ロボット「ルンバ」シリーズを世界で300万台販売している。実用性に重点を置いた機能性ロボットは医療、無人偵察、消防、農業、無人自動車、教育、エンターテインメントなど領域は広い。

 これらのロボットには半導体やディスプレー、無線通信など韓国が強みとするITが幅広く応用されており、サムスン電子やLG電子、現代重工業などの大手企業も機能性ロボットの開発に力を入れている。今回の政府の育成計画が企業の開発意欲にも刺激を与えそうだ。

 計画によると、2013年の国内市場規模は現在の9000ウォンから4兆ウォンに、輸出も1億8000万㌦から10億㌦に拡大すると見込んでいる。また、今後5年間にロボット専門企業は187社から250社に増え、1万3800万人の雇用が創出されると見ている。さらに、2018年には国内生産20兆ウォン、輸出70億㌦、専門企業500社、世界シェア20%の青写真を描いている。

 だが、課題も多い。特に、コンピューターのCPU(中央演算処理装置)というべきロボットが人間の言葉や顔の表情を感知する認知技術(ヒューマン・ロボット・インターフェース)での源泉技術の確保が重要である。

 KIST(韓国科学技術研究)では、「脳科学や認知科学などに関連したロボット分野は、世界的に見てもまだ初歩的な段階だ。ロボットを動かすソフトウェア技術である電算、制御、無線通信など、情報通信技術においては韓国が強みとしているため、これらの分野に力を集中させれば勝算はある」見ている。

 ロボット産業が鉄鋼や半導体に続く韓国産業のコメとなるのか、今後の展開が注目される。