韓国経済の成長の勢いが鈍ってきた。韓国銀行が27日発表した第3四半期(7―9月)のGDP(国内総生産)速報値によると、前年同期比4・5%成長を記録した。世界の中では比較的高い成長ではあるが、韓国にとっては第1四半期(1~3月)の8・1%、第2四半期(4~6月)の7・2%に比べ明らかに下降線を描いている。製造業は引き続き堅調だが、輸出がやや鈍化、農林漁業がマイナス6・1%に落ち込んだのが響いた。韓銀は、今年の成長率は年間で6%台になるとみている。
第3四半期の成長率は前期比では0・7%を記録した。第1四半期の2・1%、第2四半期の1・4%を下回る。前年同期比同様、前期比でも明らかに成長鈍化の傾向にある。
成長率の鈍化は、異常気象による影響で農林漁業の不振が大きく、03年第4四半期(10~12月)のマイナス0・8%以来の低水準を記録した。前期比でもマイナス2%だ。製造業は前年同期比15・9%(前期比2・0%)を記録、成長の勢いを維持した。また、サービス業は前年同期比3・6%(前期比0・3%)の伸びを示した。これは、運輸・保管業と不動産・賃貸業は低迷したものの、卸・小売り業、飲食宿泊業、金融保険業が好調だったおかげだ。建設業は土木建設の増加に伴い、前年同期比0・5%(前期比0・4%)増加した。建設業は、前期のマイナス0・9%からプラスに反転しており、建設景気がやや回復傾向にあることを示した。
一方、上半期に前期比7・0%増を記録し高度成長を牽引した財貨輸出は1・9%増に鈍化した。財貨輸入は原油、天然ガス、一般機械などを中心に前期比2・5%増。
民間消費は、前期比1・3%増を記録した。これは第2四半期の0・8%増を大きく上回る。「アイフォーン」と「ギャラクシーS」などスマートフォン(高機能携帯電話)販売好調が大きい。設備投資は同6・3%、建設投資は同1・5%増加した。
設備投資は、半導体製造用装備、精密機器などに対する投資に伴い6・3%増えた。
韓銀は今後の見通しについて、第3四半期は数字的には鈍化したが、引き続き健全な成長パターンが続くと予想している。「民間消費が蘇った。成長の自力基盤が作られた点で鼓舞的だ」との見方もなされている。だが、専門家の多くは、「政府の財政支出効果がなくなり、世界景気の鈍化で輸出も上半期に比べ勢いがなくなった。第4四半期には成長はさらに鈍化する可能性が高い」と指摘している。