ここから本文です

2010/01/08

<総合>「国家雇用戦略会議」を新設

  • 「国家雇用戦略会議」を新設

    新年国税演説を行う李明博大統領

 李明博大統領は4日、青瓦台(大統領府)で国民に向けた新年国政演説を行い、今年最も大事な国政課題として「経済再生」を挙げた。その核心は雇用創出にあるとし、今年後半には国民が経済回復の温もりを体感できるように総力を傾けると強調した。李大統領の雇用創出にかける強い意思を受け、大統領直属の「国家雇用戦略会議」が新設され、14日に初会議が開かれる予定だ。李大統領はまた、「今年は南北関係にも新たな転機をつくりだすべきだ」と述べ、南北頂上会談への意欲をみせた。

 国政演説で李大統領は、グローバル外交強化、経済活力の向上と先進化改革、庶民に優しい中道実用政策の3大路線のもと、①経済再生②教育改革③地域発展④政治先進化改革⑤全方位外交の5大核心課題を提示した。

 青瓦台関係者は、「国家雇用戦略会議は、最近の経済回復の兆しにもかかわらず、雇用問題が改善されていないという認識に基づく措置」と説明した。現在、李大統領は毎週木曜日に非常経済対策会議を主宰している。今年からは、この会議を月1回以上は国家雇用戦略会議に衣替えする方針だ。会議には関係閣僚や民間の専門家らが出席し、雇用関連の財政支援制度やサービス産業の先進化、労働市場の構造改善、産学協力・教育制度改善策などを講じる。

 外交については、「より大きな大韓民国」をつくるために世界中の国と全方位の外交を繰り広げると表明。特に「韓中日関係を一層緊密にし、新アジア外交に一層拍車をかける」と述べたほか、アフリカ外交の強化を打ち出した。政府開発援助(ODA)とアフガニスタンへのPKO派遣にも言及した。

 李大統領が新年国政演説で、国政課題として経済再生と雇用創出を掲げたことを受け、経済5団体が「積極的に協力する」と、歓迎の姿勢を示した。全国経済人連合会は、「経済再生と雇用創出に最善を尽くす考えを示したことを高く評価する」とし、経済界も雇用創出と雇用安定に最善を尽くすと論評した。韓国貿易協会は、「サービス部門の輸出産業化、中小企業輸出に対する総合的支援や貿易専門家の育成を通じ、貿易でより大きな大韓民国を作ることに率先する」と強調した。

 今回の国政演説で特に注目すべきは今年は南北関係について、「南北が常時対話できる機関」の設置を提案した点だ。これは南北がソウルと平壌にそれぞれ連絡事務所を置くことを意味する。李東官・広報首席秘書官は、「常時対話が可能なシステムが構築された時に関係が正常化される」と説明した。南北関係を所管する玄仁沢・統一部長官も4日の仕事始め式で、「今年は北朝鮮核問題の解決や南北関係発展の重要な転換点を迎えるだろう」と述べ、大きな変化が起こることを示唆した。

 一方の北朝鮮はどうか。朝鮮労働党機関紙の「労働新聞」、軍報の「朝鮮人民軍」、金日成社会主義青年同盟機関紙の「青年前衛」など3紙共同の新年社説で、「2010年は南北共同宣言発表10周年に当たり、北南関係改善の道を切り開くべきだ」とし、韓国政府に対し南北共同宣言を尊重し、南北対話と関係改善の道に出るべきだと提案した。

 また、「朝鮮半島及び地域の平和・安定を保障する上で提起される根本問題は、朝米間の敵対関係を終息させることだ」として、対米関係改善を最優先する姿勢も鮮明にした。内政面では、新年の目標の第一項として「人民生活の向上」をあげ、衣服や日常生活品の増産を意味する「軽工業」や食糧問題解決のための「農業」の活性化を重点目標に掲げた。

 朝鮮総聯の機関紙「朝鮮新報」(電子版)は、南北関係について「劇的な変化を予感させる意思表明」と伝えた。また、ブッシュ大統領時代に6者協議次席代表を務めたビクター・チャ米ジョージタウン大教授は、最近の韓国紙インタビューで「金正日総書記はビジネスマン出身の李大統領と会うことを強く願っている」として、「南北頂上会談は実現される可能性が十分ある」と予測した。