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2010/02/12

<総合>CO2排出しない「夢の製鉄所」建設

  • CO2排出しない「夢の製鉄所」建設

    ファイネクス工法で建設した製鉄所、汚染物質の発生を大幅に削減した

 ポスコが、2050年までにCO2(二酸化炭素)を一切排出しない「夢の製鉄所」を建設する構想を発表した。これは、原子炉を利用、鉄鋼生産過程でCO2を発生させない「水素還元製鉄技法」を開発するというもの。実現すれば、エネルギー多消費産業の鉄鋼産業で汚染問題を根本的に解決することになる。鄭俊陽ポスコ会長が青瓦台(大統領府)で開かれた第7回グリーン成長委員会で発表した「温室ガス削減計画」の最終目標として提示された。40年先の長期目標であるが、グリーン化にかけるポスコの強い意気込みを示すものだ。

 ポスコが今回発表したCO2を発生させずに鉄鋼を生産する「炭素追放プロジェクト」は、前例のない試みだ。

 水素還元製鉄技法は、酸化(O)状態で存在する鉄鉱石に対して一酸化炭素(CO)の代わりに水素(H)を還元ガスとして使用することによって、従来の製鉄過程ではCO2が発生していたのが水となって出るようにする技術。

 ポスコはこのため、950度以上の高熱で核融合をさせることができる超高温ガス原子炉を開発するという長期計画を推進する。安価に大量の水素を発生させるためには、このような高温で作動する原子炉が必須であるからだ。現在、原子力研究所などと第4世代原子炉の共同開発協議を進めている。

 問題は莫大な資金と関連技術が必要なため、水素還元製鉄技法をすぐに開発するのは困難であり、2050年を開発目標時期にした。

 それまでは現在の製鉄方式で炭素排出の最小化に取り組む。今回ポスコが打ち出した排出削減計画によると、2020年までにCO2排出を9%削減する。現在、鉄鉱石を溶かして銑鉄1㌧を生産する際、2・18㌧のCO2が発生するが、これを1・98㌧に引き下げる計画だ。

 まず既存の鉄鋼生産工程でグリーン設備を新・増設してCO2を減らす。15年までに粗鋼1㌧当たりのCO2排出量を3%減らし、その後20年までに再加熱のない製鋼・熱延工程などの技術開発で、さらに6%削減する。また、18年までに燃料電池、風力・海洋エネルギー、生活廃棄物の燃料化などの低炭素グリーン成長事業に7兆ウォンを投資する計画だ。この過程で技術を蓄積し、水素還元製鉄技法を開発に本腰を入れる。

 ポスコは3年前にも、「第2の製鉄技術革命」と呼ばれるファイネクス工法=直接溶融還元製法=を用いた新型製鉄炉を竣工、世界で初めて商業稼働するのに成功させた実績がある。この新工法開発には15年を要した。ファイネクス工法では、焼結とコークスの過程が省略されるため、汚染物質の発生が大幅に減少している。今回のCO2を全く発生させないプロジェクトの早期推進が期待される。