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2010/02/19

<総合>温室効果ガス削減へ・炭素税導入を検討

  • 温室効果ガス削減へ・炭素税導入を検討

    CO2排出量が多い石油化学工場。2011年には各産業・企業ごとに排出上限が認定される

 政府は、地球的な課題である温室効果ガスの削減に本格的に取り組むため、CO2(二酸化炭素)発生物質と環境汚染行為に対する炭素税の導入を検討している。政府は昨年11月、温室効果ガスを2020年までに05年比4%(削減努力を伴わない場合の展望値30%)削減する案を確定したが、この目標達成とともに、韓国の成長戦略である「低炭素グリーン成長」の基盤を固める狙いがあるとみられる。

 政府関係者は、「昨年までは温室効果ガス削減のインフラを整える段階だったとすれば、今年から目標を具体化する作業が必要だ」と説明し、エネルギー税制強化のための炭素税導入を検討中だと明らかにした。

 温室効果ガス排出権取引制度は2011年に導入される予定で、それに併せ炭素税導入が必要という考えだ。しかし、早期導入のためには税制の公平性など検討課題が多く、国民的議論も必要になりそうだ。

 温室効果ガス排出権取引制は、年内に関連立法を終え、早ければ来年下半期(7~12月)から韓国取引所を通じ3年間のパイロット取引を実施し、その後に本格導入する計画だ。排出権取引制は、各企業ごとに温室効果ガスの排出上限を設け、排出枠を超えて排出してしまった場合は、他の国や企業との間で取引できる制度。CO2高排出産業は特に厳しい削減努力が求められる。

 炭素税とは、地球の温暖化防止のため、CO2を大量に排出する石油、石炭などの化石燃料の炭素排出量などにより課税する税金をいう。ガソリンや重油など燃料価格を税により引き上げることにより、その需要を抑え、その税収を環境対策に利用する効果がある。

 CO2排出削減に努力した企業や個人が得をし、努力を怠った企業や個人は負担をするという仕組みだ。

 1990年1月、フィンランドが初めて導入、スウェーデン、デンマーク、ノルウエー、英国、ドイツなど欧州諸国で施行している。環境税という大枠のもと、税の名称は多様だ。スウェーデンは炭素税、硫黄税、窒素税を導入。デンマークは化石燃料に対する消費税形態の炭素税、エネルギー税、硫黄税を施行中だ。英国は気候変動税、ドイツはエネルギー関連特別消費税としての環境税だ。だが、欧州の一部を除き、炭素税を導入している国はわずかだ。昨年12月のCOP15(第15回国連気候変動枠組み締約国会議)で炭素税問題が論議され、再び関心が集まった。

 韓国はCO2排出量が世界9位。今年はG20(主要20カ国・地域)首脳会議をソウルで開くだけに、温暖化問題でも指導力を発揮すべき立場にある。炭素税導入を発表、環境立国を印象付けたいところだ。

 政府は昨年7月、「グリーン成長国家戦略及びグリーン成長5カ年計画」を発表した。ここには炭素税導入も盛り込まれている。また、昨年末には「低炭素グリーン成長基本法」が国会で成立、炭素税と排出権取引制度導入の土台は整った。

 韓国租税研究院が現在、炭素税導入などエネルギー税制強化案の研究を進めており、6月までに結果が出る見通しだ。同院は昨年5月、「グリーン成長のための炭素税導入」と題する報告書で、韓国が欧州式炭素税を導入すれば、07年基準で9兆1442億ウォンの税収が確保されると推算した。結果が出次第、政府は専門家の意見収集と関係官庁協議に入る考えだ。また、部門別・産業別の温室効果ガス削減目標が具体的に決まれば、これを土台に導入日程と推進案を細分化する作業も進める方針だ。

 炭素税導入などエネルギー税制を強化した場合、現行税法体系に大きな変化が生じる可能性があり、所得税のなどの税率引き下げなど租税体系全般の見直しも避けられないとみられる。