ここから本文です

2010/03/05

<総合>起亜自動車・米ジョージア工場完成

  • 起亜自動車・米ジョージア工場完成

 起亜自動車が先週末、米ジョージア州ウエストポイントで年産30万台規模の自動車工場の竣工式を行い、本格的生産に入った。投資額は10億ドル。工場誘致を成功させたジョージア州が土地の無償提供をはじめ税制支援など全面的バックアップ。不況に悩む現地では「救世主の起亜がわが町に来たよ」と歓迎一色。雇用創出効果が3万人以上見込まれ、60億㌦以上の経済効果が期待されているだけに期待も大きい。隣州のアラバマ州には現代自動車の工場が2年前から稼働中であり、米南部地域で韓国企業の存在感がさらに高まりそうだ。

 起亜自のジョージア工場の敷地面積は261万2000平方㍍。変速機、モジュール、プレス、溶接、塗装、組み立て工場が一列に配置され、近くには物流センターや鉄鋼倉庫も備えている。

 起亜自関係者は「このジョージア工場の稼動で、中国、欧州市場に続いて米市場でも研究開発、生産、販売、アフターサービスなど現地化が完了、消費者と市場の要求に迅速に対応できることになった」と語った。生産台数は、今年13万台、来年18万5000台、12年には新型モデルも投入して30万台体制にする計画だ。

 立地に際しては、工場敷地ほか、道路、鉄道などのインフラを州政府が無償で提供した。工場誘致にはミシシッピー州も秋波を寄せていたが、ジョージア州のソニー・パーデュー州知事は直接訪韓、さまざまなインセンティブを提供し、税金減免などの優遇措置を取った。

 自動車工場の設立は雇用効果が大きいからだ。部品メーカーや関連サービス業などを含め、現在までに1万人以上の雇用を生んでいる。ジョージア工科大によると、2年後には新規雇用が2万人を超え、地域の経済効果は65億㌦に達する見通し。

 パーデュー州知事は、「かつて映画『風と共に去りぬ』で有名になったジョージアは、今や風のように成長している。起亜自の工場が成長に大きな役割を果たしている」と語ったが、起亜に対する現地の人気は沸騰状態。生産職850人を募集したところ、何と4万3000人が殺到した。500倍の競争率だ。自動車工場でこれだけの狭き門となったのは米製造業初という。地元の熱烈な歓迎を受け、鄭夢九会長は竣工式で「ジョージア工場を米南部を代表する工場に育て、米国経済に新たな活気を吹き込んでいく」と自信をみせた。

 起亜のジョージア工場で注目すべきは、各種ロボットをはじめ最新鋭生産設備を整えている点だ。現在生産の車種はソレントRだが、1時間に57台生産するため244台のロボットが休まず動いている。最先端設備の導入で、溶接時に出る煤煙をなくすのにも成功した。

 起亜自動車は米ジョージア工場の稼働を契機に、今年の米国市場シェア目標を3%として攻撃的な販売戦略を展開する計画だ。起亜自は米市場で08年に27万台を販売し、シェア2%を突破。昨年には2・9%を記録した。関係者は「ジョージア工場で生産されるソレントRは米国市場で起亜自のブランドパワーを大いに向上させるだろう」と期待している。

 ちなみに、米自動車市場分析会社のエドムンズ・ドット・コムは、現代・起亜自動車グループの米国市場におけるシェアが、2月に過去最高の8・4%を記録すると見込んでいる。両社のこれまでの最高シェアは昨年8月の8・0%だった。

 今回の3番目の海外工場完成で起亜自は、中国工場(43万台)、スロバキア工場(30万台)を合わせ、海外年産能力が103万台に達した。姉妹関係にある現代自の海外生産能力200万との合計で303万台。これに両社の国内生産能力310万台を含めると613万台体制となる。