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2010/04/02

<総合>ヨルダンから・研究用原子炉を受注

  • ヨルダンから・研究用原子炉を受注

    研究用原子炉建設事業契約に署名する両国関係者。左から2人目が梁明承韓国原子力研究院長、同3人目がトーカン原子力委員会委員長

 UAE(アラブ首長国連邦)への原子力発電所輸出に続いて、今度はヨルダンに研究用原子炉が輸出されることになった。韓国原子力研究院と大宇建設で構成された韓国コンソーシアム(企業連合)は30日、ヨルダンの首都アンマンの首相公館で研究用原子炉(JRTR)建設事業契約を結んだ。今回の契約で、ヨルダンが発注している商用原子力発電所の受注も期待される。米国の技術導入で始まった原子力研究開発から50年。今回の独自技術による原子炉輸出成功で、「原発立国」への弾みがつきそうだ。

 アンマンの首相官邸で行われた契約式典には、韓国側から安秉萬(アン・ビョンマン)・教育科学技術部長官、梁明承(ヤン・ミョンスン)・原子力研究院院長、徐綜郁(ソ・ジョンウク)・大宇建設社長、ヨルダン側からはサミール・リファイ・ヨルダン首相、カリド・トーカン・ヨルダン原子力委員会委員長らが出席した。契約金額は1億2000万㌦規模。ヨルダンにとっては初の原子炉建設となるだけに、韓国製原子炉への期待は大きい。

 正式契約に基づき、韓国企業連合は熱出力5000㌔㍗の研究用原子炉、原子炉建物、同位元素生産施設などをヨルダン北部イルビドに位置するヨルダン科学技術大学キャンパス内に建設する。6月に着工し、試運転を経て2015年2月までに原子炉と付属施設を完工する予定だ。

 韓国企業連合は昨年12月、アルゼンチン、ロシア、中国などを制しJRTR建設事業の最優先交渉先に選定され、今年1月に最終落札者に選ばれていた。

 今回のヨルダンへの研究炉輸出は、設計から製作、建設、運営まで韓国の技術で行われるという点で意味が大きい。韓国の研究用原子炉技術レベルが世界的に認められたことになり、今後の研究炉市場で主要供給国に浮上する足がかりを築いたと評価される。

 韓国側は原子炉の竣工後にも運営要員の教育と安全管理を引き受けることになっている。安秉萬・教育科学技術部長官は「ヨルダン研究用原子炉は設計から製作・建設・運営にいたるまで韓国の技術で行われる。韓国原子力技術が世界的に認められ、国際研究用原子炉市場進出の橋頭堡を用意した」と評価した。

 トーカン委員長は「ヨルダンに建設する韓国の研究用原子炉は世界最高水準の傑作になるだろう」と述べた。ヨルダン科学技術大学のオウェイス総長は「ヨルダン原子炉が今後、中東地域輸出の橋頭堡になるはずだ」と展望した。

 今回の輸出は、これから世界で発注が続く研究用原子炉市場で韓国の地位を大きく高めると期待される。