李明博大統領、鳩山由紀夫首相、温家宝首相による韓日中首脳会議が先週末に済州道で開かれ、3カ国FTA(自由貿易協定)締結と経済統合の追求を明記した「ビジョン2020」を採択する成果をあげた。究極的には経済共同体を形成することで一致した。3カ国首脳が採択した「ビジョン2020」は、今後10年間の3カ国間協力強化の原則を盛り込んでおり、来年韓国に常設事務局を設けて実務的にサポートする。特に、3国間FTAに関しては、先月から始まった産官学の共同研究を12年までに終え、早期に政府間交渉入りをめざすことになる。韓国では、「東アジア共同体への一歩」と受け止めている。
「ビジョン2020」は、前文と①パートナー協力関係の制度化②共栄に向けた持続可能な経済協力③持続可能な開発及び環境などでの協力④文化交流協力拡大による和合と友情の増進⑤地域・国際社会の平和と安定に向けた共同努力の5分野からなり、3カ国間のFTA締結と経済統合の追求、投資協定の締結を通じた投資拡大、気候変動及び環境保護協力の拡大、人的交流の増大、北朝鮮核問題の解決に向けた協力、麻薬根絶への協力など41項目の協力課題を提示している。
また、これとは別に国際標準共同開発と主要技術の共通標準化を骨子とする「標準協力共同声明」と保健医学技術、汚染防止・廃棄物処理技術、IT分野の協力、自然災害対応力強化などを盛りこんだ「科学革新協力強化共同声明」も採択した。
さらに①労働・雇用分野協議体の構築②治安協議体の構築③キャンパスアジアパイロット事業④公務員交換訪問⑤グリーン経済セミナーの定例化⑥循環経済パイロット団地構築に向けたハイレベルフォーラムの開催⑦韓中外交官の日本短期研修の7つの新規交流事業にも合意した。3カ国の大学の複数学位と共同学位も実現することになる。このように今回の首脳会議では、10年先を見込んだロードマップ、標準化と科学革新の2つの共同声明、新規交流事業など多くの合意を見た。これらの合意事項の実践に欠かせないのが常設事務局だ。李大統領が昨年10月の韓日中首脳会議で提案し、今回の首脳会議で設置に合意をみた。事務総長は3カ国の外相会議で任命するが、初代事務総長は韓国から出すことになった。EU(欧州連合)とASEAN(東南アジア諸国連合)も事務局機関が地域協力を進める重要な役割を担っている。
今回の首脳会議で経済的に最も重要なことは、3カ国ともFTAにゴーサインを出した点だろう。FTAを進める上では農業問題など敏感な問題をクリアしなければならないが、FTAを推進し経済統合をめざすことにしたのは、そのシナジー(相乗)効果が大きいからだ。韓日中3カ国で全世界のGDP(国内総生産)の20%近くを占め、20年後は30%を超えるとも予想される巨大市場である。FTAが実現し、経済統合が実現すれば、より自由なモノの流れと大規模な人的交流という新しい世界が開かれることになり、ビジネスチャンスもより広がるわけだ。
このように経済協力の枠組みづくりと事務局設置が決まったことで、韓日中3カ国協力が制度化されることになった。今後は一つひとつ進捗状況を点検しながら前進をきすことができ、その意味でも今回の3カ国会議は大きな成果をあげたといえる。
政治問題を討議した2日目の会議では、懸案の哨戒艦沈没事件について、韓国側調査結果を重視するとした上で、「域内の平和と安定を維持するため、持続的に協議し、問題に適切に対処していく」ことに合意した。中国はこの問題について中立姿勢をとっているが、韓国側は今回の合意を「一歩前進」と受け止め、北朝鮮に自制を促すメッセージになったとも評価している。
また、南北統一問題も初めて取り上げられ、李大統領は、「韓国政府の目標は、韓半島の平和を維持し、北朝鮮を開放した上で、南北が共同の繁栄を築き上げることだ。その過程で平和的な統一を追求していく」と述べた。
鳩山首相は、「平和統一環境が一日も早く整うよう支援したい」と支持、温家宝首相も「平和統一をめざすと語った李大統領の発言に全面的に同意する」と表明した。韓中両首脳が平和統一支持を明確にしたのは異例のことだ。