サムスン電子やLG電子、現代自動車など韓国を代表する大企業の第2四半期(4―6月)決算がほぼ出揃ったが、旺盛な海外進出を軸に好実績をあげている。サムスン電子は四半期ベースで営業利益が初めて5兆ウォンを突破した。現代自動車は営業利益が8000億ウォンを超えるなど史上最大の業績を記録した。昨年世界鉄鋼不況で苦戦したポスコも営業利益が昨年同期に比べ10倍以上増え1兆8360億ウォンに劇的に回復。赤字続きだったハイニックスに至っては、半導体好況に力を得て初の1兆ウォンの黒字転換となった。だが、スマートフォンで出遅れたLG電子は営業黒字が90%減となり、明暗を分けた。
サムスン電子の国内外事業を合わせた第2四半期連結業績は、売上高が前年同期比16・6%増の37兆8900億ウォン、営業利益が87・5%増の5兆100億ウォン、を記録した。
最大の牽引車は半導体。需要が落ち込むシーズンにもかかわらず、供給不足でDRAM価格が上昇、スマートフォン(高機能携帯電話)など新規需要先の増加を受けたNAND型フラッシュメモリーの需要が増えたのが大きい。半導体部門の営業利益は前年同期に比べ8倍以上の2兆9400億ウォンを記録。31%という高い営業利益率をあげた。
LCD(液晶パネル)部門も、発光ダイオード(LED)バックライト搭載テレビや3D(三次元)テレビの需要拡大や生産性向上が奏功し、営業利益は8800億ウォンと252%増を記録した。
情報通信部門は、携帯電話の販売台数が22%増の6380万台を記録したが、営業利益は6300億ウォンと前年同期の半分に減った。新機種が相次ぐ携帯電話市場の競争が熾烈化していることを示した。
全売上高の40%近くを占めるデジタルメディア部門は、テレビや生活家電など主力製品の販売好調で、売上高が前年同期比20%増えたものの、営業利益は69%減の3600億ウォンにとどまった。期間中のテレビ販売は902万台で不動の1位。2位LG電子の630万台、ソニーの510万台を大きく引き離している、ユーロ下落や部品価格上昇、激化する競争の中、シェア拡大を優先した結果、利益率は下がったが売上高は高い伸びを示した。
サムスン電子の第2四半期実績好調は、半導体や液晶パネルなど部品部門の急伸長のおかげといえ、全営業利益の76%を部品部門で占めた。特に営業利益の40%近くを占める半導体は、不況期の積極的な投資(06年からの4年間で250億㌦)が技術力と生産性を高め、全世界的な供給不足に効果的に対応できた。
半導体好況を受け、ハイニックスの第2四半期も絶好調だった。売上高が前年同期比96%増の3兆2790億ウォン、営業利益は1兆450億ウォンを記録して黒字転換した。同社は長い間の赤字経営で資金力に乏しく、十分な設備投資ができなかったが、選択と集中を徹底し、工程改善などで生産性を高めて、市場の要求に応えた。これにより、製造業では10%未満が一般的な営業利益率を32%にまで高めた。
電子に劣らず、自動車業界も好調だった。現代自動車の第2四半期売上高は前年同期比31・4%増の9兆5600億ウォン、営業利益71・2%増の8633億ウォンを記録、純利益も1兆ウォンを突破する過去最高の業績をあげた。期間中の販売台数は45万7494台(国内販売15万2465台、輸出30万5029台)。国内販売は前年同期に比べ17・85%減少したが、輸出は40%増え、輸出依存がさらに強まった。
新興市場を中心にグローバル自動車需要が次第に回復をみせるなか、米国など先進市場のほか、アジア・中東・中南米地域など新興市場で大幅な販路拡大に成功した。
これにより、上半期販売実績は85万5140万台を記録、海外工場の販売分90万9114台を含めると176万台を超す。海外工場販売比率は51・5%と初めて半分を超え、グローバル企業化が急進展していることをみせつけた。
系列の起亜自動車も史上最高の業績をあげており、売上高が23・3%増の5兆7678億ウォン、営業利益が28・3%増の4237億ウォンを記録した。販売台数は20・7%増の34万9989台だった。上半期販売台数は、海外工場での販売分を含め初めて100万台突破、年間目標を202万台に引き上げた。現代自と起亜自の合計で今年の世界販売は600万台が目標となった。
ちなみに、米国市場の7月の新車販売で、現代自と起亜自の2社合計で過去最高の8万9000台を販売し、シェアは8・5%に高まった。販売ランキングは日産を抜き、クライスラーに次ぐ6位に上昇した。
鉄鋼業界も回復が顕著だ。最大手のポスコの第2四半期実績は売上高7兆9330億ウォン、営業利益1兆8360億ウォンを記録。 グローバル金融危機で実績が低調だった前年同期の売上高6兆3440億ウォン、営業利益1700億ウォンに比べ見違えるばかりの回復だ。世界景気の回復で全般的に鉄鋼需要が増え、価格上昇による追加利益も発生した。営業利益は、過去最高だった08年第2四半期の2兆1420億ウォンに次ぐ好実績となった。
また、石油業界のSKエナジーも第2四半期に26・5%増の11兆3036億ウォンの売上高を記録。営業利益は227%増の5808億ウォンに達した。ガソリンなどの軽質油を中心に海外市場を拡大したのが奏功した。具慈栄社長は、「よく遊び、よく休むことも競争だ」として全社員に2週間の夏期休暇をとるように指示。業績回復をてこに積極経営を展開する戦略の一環と受け止められている。
一方、主要企業の中ではLG電子の業績悪化が目立った。IFRS(国際会計基準)を初適用した第2四半期の連結実績は、売上高が0・7%減の14兆4097億ウォン、営業利益が89・8%減の1262億ウォンにとどまった。テレビや携帯電話部門の不振で業績を押し下げた。だが、今後はスマートフォンの戦略モデル発売、LEDテレビや3Dテレビのプレミアム製品で収益性を改善できると期待している。
経営学の神様とも呼ばれるピーター・ドラッカーは生前に「企業の最高善は利益を出すことだ」と言った。投資と雇用の責任を負うため、企業にとって収益を多く出す生産能力が欠かせない。韓国の大企業の多くが海外市場の拡大を通じて、生産能力を拡大していることが第2四半期の実績に表れているといえる。