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2010/09/10

<総合>韓国・「メコンの奇跡」実現へ本格参加

  • 韓国・「メコンの奇跡」実現へ本格参加

    ソウルで開かれたメコン川流域開発フォーラムであいさつする尹増鉉・企画財政部長官

 韓国がメコン川流域の総合開発に本格的に参加、「メコンの奇跡」実現に官民をあげて協力することになった。企画財政部とADB(アジア開発銀行)が共催してソウルで6日開かれた「メコン川流域開発フォーラム」で、尹増鉉(ユン・ジュンヒョン)・企画財政部長官は、メコン川流域(GMS)開発計画への積極参加を表明。「韓国はこの間、メコン川開発事業に22億㌦に達するODA(政府開発援助)資金を支援したが、今後は年間ODA支援を2015年までに現在の3倍に拡大する」と強調した。

 この開発計画は、メコン川流域の6カ国(中国、ミャンマー、ラオス、カンボジア、タイ、ベトナム)を対象にしている。中国は雲南省が含まれる。流域人口は3億人を超え、市場規模としても大きい。

 尹長官は、このメコン川流域6カ国の最近の経済的成果を高く評価し、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に続く次世代の成長の柱となることを期待すると述べ、韓国が財政支援、技術協力、グリーン産業協力、民間投資促進などを通じ、同計画に積極的に参加すると表明した。

 尹長官は、「メコン川流域諸国間の貿易と投資の活性化に向けたインフラ構築の過程で技術協力を求める例が増えている」とし、「こうした分野で韓国の経験と国際機関のノウハウを調和させた共同コンサルティングを拡大していきたい」と語った。特に、「メコン川の奇跡」を実現させるためには、GMSが直面する困難に果敢に立ち向かう「アジアのニューフロンティア精神」が必要だと強調。韓国が心強い支援者になるとアピールした。

 政府は、グリーン成長政策と関連した気候変動や環境の分野での協力の必要性が高まっている点を踏まえ、東アジア気候パートナーシップや経済発展経験共有事業(KSP)など、様々な形で開発に参加する計画だ。また、韓国が優位にあるICT(情報通信技術)分野では、電子政府、IT(情報技術)マスタープラン樹立などの支援を推進する。

 メコン川流域の国々で需要が高い交通インフラの構築や水資源開発への支援拡大は、天然資源の開発などと連携させる形で取り組む方針だ。現在、ベトナム・ハノイにあるノイバイ国際空港地域では中国雲南省に至る224㌔の高速道路が建設中だが、韓国のポスコ建設は始発地のノイバイから27㌔地点の建設を進めている。

 特に、資源開発で韓国の取り組む余地は大きい。雲南省の亜鉛、銅、ミャンマーの天然ガスと原油、ベトナムの原油とコーヒー、ラオスの金、銅、鉄鉱石、ボーキサイト、タイのゴム、金、原油、カンボジアの原油などいずれ劣らぬ天然資源の宝庫だ。

 政府は、メコン川流域の国々と経済協力協議体を新設し、政策協議の強化、新たな協力事業の発掘も進める計画だ。


◆メコン川流域開発

 メコン川はチベット高原に源流を発し、中国雲南省を通り、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを貫流して南シナ海に注ぐ。全長4200㌔。流域面積は80万平方㌔に及ぶ。メコン川流域開発計画はそのメコン流域6カ国が関与するプロジェクトで、ADBが資金協力。交通、エネルギー、通信、環境、人的資源の開発、投資、貿易、観光、農業などを対象にした総合開発計画だ。