世界のGDP(国内総生産)の85%以上を占めるG20(主要20カ国・地域)首脳会議が11日からソウルで始まった。今回の首脳会議では、米国発の世界金融危機を克服し、持続可能かつ均衡ある成長に向けた新たな世界経済秩序の土台づくりをめざす。特に、世界経済の波乱要因になっている通貨安競争の終息を宣言するとともに、保護貿易主義の打破で一致することになる。また、途上国経済の開発を支援する行動計画も具体化する見通しだ。12日午後の共同記者会見で、議長国として李明博大統領が議論の結果をまとめた「ソウル宣言」を発表する。(7面に関連企画)
今回の首脳会議の当面最大の懸案は、世界経済の不均衡是正のための経常収支ガイドライン(参考指針)作成だ。
先のG20財務相・中央銀行総裁会議で韓国と米国が経常収支の黒字と赤字幅をGDP比4%前後に抑えることを提案したが合意を得られず、G20を先進黒字国、先進赤字国、新興黒字国、新興赤字国、資源輸出国の5グループに分けて経常収支を調整する仲裁案を模索している。韓国は先進黒字国に分類されているが、このような方式の採択も厳しい状況だ。
今会議ではとりあえず、通貨安競争の終息を宣言し、経常収支ガイドラインの合意期限を設け、来年の議長国フランスにバトンを渡すことになりそうだ。
保護貿易の打破について、08年11月の第一回会議から韓国は、保護主義の危険性に警鐘を鳴らし、スタンドスティル(現状維持=現在以上の保護的措置をとらないこと)を提唱してきた。
この点については各国の賛同を得ており、先進国に対して保護主義に傾かないように警告し、追加的な保護主義をとらないことを約束することになりそうだ。
また、本来なら05年に妥結していなければならないWTO(世界貿易機関)のドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)の推進も謳うことになっている。これは無差別自由化を進めるもので、現在各国間で進められているFTA(自由貿易協定)など2国間あるいは地域間の排他的自由化より、開放度は高い。ドーハ・ラウンドの早期妥結を再び促し、貿易自由化が雇用と成長に役立つことを確認するが、具体的な道筋をつけることができるのかは未定だ。
国際金融機関の改革については、IMF(国際通貨基金)の欧米の持ち分から6%を新興国に振り分けることが決まっており、新興国の発言権が高まることになる。
コリア・イニシアチブの議題での成果も期待される。国際金融セーフティーネットは、IMFの融資制度改善を通じ、外貨流動性の一時的な不足に伴う各国の財政難を削減するチャンネル新設に続き、危機の広がりを防止する国際安定メカニズムに進展させる。途上国の成長を促す支援を行う多年度行動計画を確定する開発議題は、途上国の全面的な支持を受けており、行動計画は今回の目玉になりそうだ。