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2010/11/19

<総合>韓国・ペルーともFTA締結

  • 韓国・ペルーともFTA締結

    李明博大統領とガルシア大統領が見守る中、韓国・ペルーFTAに仮署名する金宗壎・通商交渉本部長㊨とペレス通商観光相

 韓国とペルー間のFTA(自由貿易協定)が締結された。15日に仮署名が行われ、来年3月に正式署名する予定だ。両国は協定発効から10年以内に、すべての工業製品に賦課される関税を撤廃する。特に、ペルーに輸出される韓国産カラーテレビ(現行関税9%)と、排気量3000cc以上の大型車の関税は、協定発効即時に撤廃され、ペルーへの輸出増大が期待される。また、今回初めて、協定にエネルギーと資源協力を明文化した。

 ペルーとのFTA締結は南米で04年に締結したチリに続いて2カ国目。これで韓国はEU(欧州連合)、ASEAN(東南アジア諸国連合)を含め、8件・45カ国とFTAを締結したことになる。今回は、金宗壎(キム・ジョンフン)・通商交渉本部長とマルティン・ペレス通商観光相が青瓦台(大統領府)で、李明博大統領とガルシア大統領が臨席するなか仮署名を行った。

 ペルーに輸出される自動車にかかる関税は現在9%だが、3000cc以上の大型は即時撤廃され、1500~3000cc未満の中型車は5年以内、その他乗用車は10年以内に段階的に撤廃される。また、現行17%の洗濯機と冷蔵庫の関税も、それぞれ4年、10年以内に撤廃となる。

 日本はまだペルーとFTAを締結しておらず、すでに締結した中国は関税撤廃時期が自動車10年、家電5年で、韓国に比べ条件が不利だ。これにより、韓国が競争相手国に先んじてペルー市場を開拓できる。

 農水産物では、韓国の要求を入れてコメ、牛肉、トウガラシ、ニンニク、高麗人参類、明太子など107品目がFTA協定対象から除外された。

 一方、ペルーの主要輸出品目であるコーヒー関税(現行2%)は、協定発効即時に撤廃される。また、アスパラガス、バナナなどは3~5年内に撤廃。冷凍などのイカは10年以内、その他イカは5~7年以内の撤廃となる。 

 特に今回、エネルギーと資源協力を明文化したことの意味が大きい。今後、鉱物資源や原油、ガスの探査・開発で協力を強化することになり、韓国企業のペルー進出が拡大する見通しだ。ちなみに、ペルーは資源大国で、銀の埋蔵量は世界一位、亜鉛は2位、銅3位、スズ3位などと鉱産資源に恵まれており、石油、天然ガスの埋蔵量も豊富。

 韓国とペルーは昨年3月に第1回FTA交渉を行い、8月末に妥結、今回の仮署名となった。

 李大統領とガルシア大統領の首脳会談では、通商・投資拡大など協力策を中心に話し合われた。

 李大統領は、FTAを通じて両国国民の福祉が拡大されることを期待し、ペルーのエネルギー・資源開発およびインフラ事業に韓国企業が参加できるよう支援を求めた。また、韓国のODA(政府開発援助)重点協力対象国にペルーを選定したことや保健医療、農漁村開発、情報通信分野を中心に協力事業を続けることを説明した。

 これに対し、ガルシア大統領は、韓国企業のペルーへの投資拡大を求めた。また、会談後の記者会見で、経済だけでなく、環境、石油化学、漁業技術など両国間のさまざまな分野で協力が期待できると強調した。