地球温暖化防止のためのCO2(二酸化炭素)など温室効果ガスの排出削減は世界的な課題だが、韓国で削減目標実現に向けて強制的な削減割当量が決まった。知識経済部と環境部、国土海洋部が中心になって国内458企業・機関を対象に策定、「2012年温室効果ガス削減目標及びエネルギー節約目標」として発表した。財界からは「世界経済不安が拡大している状況で、環境費用まで増えれば企業経営の悪化は避けられない」と憂慮する声も出ているが、エネルギー効率の強化など、より一層の環境技術開発を迫られそうだ。
来年の温室効果ガス排出許容量は5億9760万㌧-CO²で、このうち産業部門が3億3800万㌧-CO²、発電部門2億3900万㌧-CO²で、両部門でほとんどが占められる。
従って、今回の削減目標の中で、最も大きなウエートを占める産業・発電分野の温室効果ガス目標管理制度の対象となる336の企業・機関は、温室効果ガス予想排出量(BAU)より830万㌧-CO²を削減しなければならない。BAU比1・42%の削減率だ。
このうち、産業分野の削減量は470万㌧-CO²で、ポスコの排出削減目標が最も多い96万3000㌧-CO²。次いでサムスン電子の42万9000㌧-CO²。このほか、LGディスプレイ、現代製鉄、サムスンモバイルディスプレイ、雙龍洋灰工業、LG化学、エスオイル、SKエナジー、東洋セメントなど上位10社に義務付けられた排出削減目標は254万㌧-CO²にのぼる。これは、産業部門全体の排出削減目標の54・1%を占める。
知識経済部は来年、産業部門の温室効果ガスの排出削減目標が達成されれば、電気自動車350万台導入と同等の効果があるとみている。
発電部門は、韓国電力や韓国水力原子力など主な発電・エネルギー企業が、温室効果ガス排出量の大部分を占める。これら公企業は国民の電気需要により生産量を調節するほかないので、企業別目標値の基準を生産量ではなく、送電量で適用。1メガ㍗時の電気を送電する時に排出される温室効果ガス量を基準にすることになる。知識経済部は目標の360万㌧-CO²を削減できれば、1000メガ㍗級原子力発電所1基を建設するほどの効果があると説明。
来年からの削減を義務付けられた企業は、12月までに目標達成のための実践計画を作成し、政府に提出しなければならない。政府は、排出削減目標を達成できなかった企業に対し、改善命令を出すが、これに従わなければ最大1000万ウォンの過料を科す方針だ。
これに対し、割り当てられた企業は「経営状況が悪化している上、環境保全に関する負担まで増えるため、難しい状況だ」としながらも「グリーン成長は避けて通ることができないため、排出削減目標の達成に向け最善を尽くす」との考えだ。
財界からの不満の声を考慮して、政府は来年に管理企業に対する融資支援金を1246億ウォン投入し、エネルギー節約設備に対する投資税控除制度を13年まで2年延長する。
韓国は、新興国の中で一番最初に温室効果ガス削減に向けた具体的なアクションをとる国になるが、国際社会の気候変動対応努力の一翼を担うことを強く印象付けることにもなる。企業にとっては、熱効率を高めたり、生産工程をより合理化するなど様々な対応が急がれるが、政府も今回の削減目標が実現できるように積極的な支援策が求められそうだ。
◆目標管理企業とは
2020年までのBAU(温暖化に対する対策を何も行わなかった場合の温室効果ガス排出量の将来推計値)比30%削減を定めた「低炭素グリーン成長基本法」に基づいて指定。政府が12万5000㌧-CO²を排出している企業や工場、建物などを管理対象に指定し、排出削減目標を毎年設定して、達成の有無について管理する。
◆二酸化炭素トン(㌧‐CO²)とは
二酸化炭素その他の温室効果ガスの排出、吸収、貯蔵等の量を、相当する温室効果を有する二酸化炭素の重量に換算した単位。