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2011/09/30

<総合>来年度予算案、5・5%増の326兆1000億ウォン

  • 来年度予算案、5・5%増の326兆1000億ウォン

 政府は27日、総額326兆1000億ウォンの来年度予算案を閣議決定し、30日に国会に提出する。今年度予算に比べ5・5%増の大型予算だ。福祉と雇用に予算の重点を置いた編成となっており、福祉関連予算は6・4%増の92兆ウォン。雇用予算は6・8%増で初めて10兆ウォンを突破した。ただし、世界的な財政危機を乗り切るため、財政引き締めを図り支出の増加を抑える方針だ。朴宰完(パク・チェワン)・企画財政部長官は、「不要不急な事業を果敢に減らし、贅肉をそいだ筋肉質の予算」と自評した。

 福祉関連予算は、増加率が全体予算増加率5・5%を0・9ポイント上回り、予算総額に占める比率も今年度予算より0・2ポイント上昇した28・2%に達する。過去最大規模となったが、硬直性が高い予算であり、財政圧迫を懸念する声もある。来年度は新たに満5歳までの保育・教育費を全額支援し、住宅支援にも6兆2000億ウォンを投入する。

 韓国の福祉需要は年々高まっている。だが、福祉予算が全体予算の40~50%台を占める欧米先進国に比べるとまだ低レベルであり、今後さらに高まる見込みだ。

 福祉関連に含まれる雇用予算のポイントは雇用創出で、来年には56万2000人の雇用を創出する計画だ。景気刺激にもつながるだけに、政府は「最優先事業」として取り組む構えだ。また、低賃金労働者122万人の国民年金と雇用保険料の3分の1を初めて財政から支援し、格差解消の要求にも応える。

 歳出項目の中では、教育が9・3%増と最大の増加率で、45兆1000億ウォンに達する。一般公共行政(8・2%)、外交統一(8・1%)も増加率が高い。北朝鮮支援のための南北協力基金は今年とほぼ同水準の1兆70億ウォン。ここには肥料30万㌧、コメ40万㌧など人道的支援の予算6550億ウォンが含まれている。

 これに比べ、景気刺激に直結するSOC(社会間接資本)予算は、7・3%も減少した。来年の景気に不安が高いだけに「SOCをマイナスにした予算編成は安易ではないか」という批判も出ている。

 政府関係者は、4大河川整備事業の大部分が年内に完了することの影響が大きいと指摘、この整備事業と麗水(ヨス)エキスポ事業費を除けば、来年の実質的SOC予算は22兆3000億ウォンで、今年比4・5%増になると説明している。

 産業・中小企業・エネルギー予算はわずか0・6%増、農林・水産・食品も2・7%増にとどまった。

 企画財政部予算室では「景気対応力が弱まるのではないかとの指摘が多いが、仮に08年のような世界経済危機が到来すれば、補正予算を編成するなど柔軟に対処できる」と指摘している。

 来年度予算編成は、経済成長率4・5%を前提にしており、財政収入が9・5%増えると見込んでいる。予算増加率をそれより低い5・5%で編成したのは、財政の健全性を重視した結果だ。しかし、成長率が低下し、それに伴い財政収入が減少すれば、当然収支目標に狂いが生じる。そのことも念頭に支出を絞りこむ必要性も指摘されている。

 なお、来年の1人当たり租税負担額は535万ウォンで、今年比6・8%増となるが、GDP(国内総生産)比を表す租税負担率は、19・2%へと0・1ポイント低下する。