李明博大統領は24日、ソウルの全国経済人連合会(全経連)で30大財閥トップとの「輸出・投資・雇用拡大のための懇談会」を主宰し、企業のR&D(研究開発)センターをソウルなど首都圏に設置できるように推進していくと明らかにした。これは財界の強い要望に応えたもの。李大統領はまた、大企業と中小企業の共同成長は大企業が犠牲となって中小企業をサポートするものと考えるのではなく、双方にプラスとなるものだという考えで進めるべきだと強調した。
李大統領はこれまで同種の懇談会を6回開いているが、今回は注目すべき点が多かった。
まず場所が青瓦台(大統領府)ではなく全経連会館だったという点。現職大統領が全経連を訪問したのはこれが初めて。これまでは韓国貿易協会が主催する貿易投資振興会議など公式行事でない限り、総帥を青瓦台に呼ぶのが通例だった。また、大企業トップらは、今回初めて名札を着けなかった。「みんな顔見知りの間なのに、堅苦しい名札など必要ない。権威主義的に見える。気楽にソフトな雰囲気で会いたい」という李大統領の意向だった。
場所・名札のような形式だけでなく、内容も変わった。昨年9月に青瓦台で開かれた懇談会では、李大統領が「大企業と中小企業の共同成長・共生協力が重要だ」という点を何度も強調。大企業トップたちも共同成長計画を報告したが、懇談時間のほとんどは「聞き手」だった。しかし今回は、懇談2時間の中で、李大統領は最初の約3分間挨拶の言葉を述べた後、発言権を財界に渡した。
こうした雰囲気の中、大企業トップらはこの日のテーマである投資・雇用・共同成長に関する報告だけでなく、各種要求もした。「政府が働きかけて、ソウルまたはその近隣に超一流のR&D(研究開発)センターを設立できるようにしてほしい」という要求はその中で最も強かった。
李大統領はこれに応え、「企業が輸出を増やし、投資を促進する上で、高級人材が多く必要になる。R&Dセンターをソウルや首都圏に設置すれば、高級人材の確保に有利だ」として首都圏への設置を支援する考えを示した。
これまで企業はさまざまな規制がネックとなり、首都圏にR&Dセンターの用地を確保するのが困難だった。現状では国有地や緑地帯を払い下げるしか首都圏では用地確保は容易でない。財界では世宗(セジョン)新都市に移転する果川(クァチョン)政府庁舎や公共機関の跡地をR&Dセンターの候補地として注目していた。また、高級人材は、子弟教育のため、首都圏以外に住むのは不利だと考えているという問題もあるという。
これまでのような格式が消えたことで、大統領と財界の距離は縮まったかにみえる。だが、R&Dセンターの首都圏設置発言に対して、「大統領が企業の隘路事項を傾聴するのは歓迎できる。だが、対処が突然プレゼントを与えるようであっては困る」「首都圏人口の肥大化を抑え、国土の均衡化を図っている政府施策に反しないか」といった批判の声も出ている。