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2011/02/25

<総合>庶民生活改善が最優先課題

  • 庶民生活改善が最優先課題

    未来企画委員会であいさつする李明博大統領

 李明博大統領が25日、就任3周年を迎える。世界経済危機をいち早く克服、成長軌道に乗せ、昨年は6・1%成長を遂げた。輸出ランクは世界7位に上昇、ソウルで開催したG20(主要20カ国・地域)首脳会議を議長国として成功させる成果もあげた。だが、今年に入って口蹄疫の被害拡大、伝貰(入居時に払う保証金)や食糧品価格の上昇で庶民生活は圧迫されている。世論調査機関のGHコリアの調査によると、54・6%が「家計生活が悪化した」と回答、「良くなった」は14・4%にすぎない。歴代政権がレームダックに陥る残り任期2年。李政権の舵取りはこれからが正念場だ。

 2007年の大統領選挙戦の李明博候補のスローガンは「経済大統領」「仕事をする実用政府」。現代建設時代のサラリーマン神話とソウル市長時代の清渓川復元の経験を国政に生かし、「国民成功時代をつくる」ことが目標だった。

 3年間の国政実績に対して、各種世論調査とも政治には極めて厳しい点をつけている。国会の人事聴聞会で8人もの不適格判定を受けたのも失策だ。だが、資源外交と経済に対する評価が比較的高く、就任直後に米国産牛肉輸入問題で支持率が10%台に下がったのを例外に、40~50%前後を維持してきた。前職の2人の大統領が就任3年経過後に支持率20%台に低迷していたのと対照的だ。

 だが、現実はどうか。「747政策」(7%成長、所得4万㌦、世界7大国入り)を柱とする「国民成功時代」には程遠い。問題は国内経済だ。先の世論調査にもあるように、庶民の過半数が生活悪化を感じている。特に今年に入ってからは口蹄疫で牛・豚が300万頭以上も殺処分され、鶏インフルエンザによる殺処分も400万羽を超える。しかも、ずさんな埋設で飲料水などに環境汚染も引き起こした。伝貰価格は2年以上も上昇を続け、生活必需品の急騰を受けインフレ感が強まっている。

 雇用問題も改善されていない。年間60万人、5年間で300万人の雇用創出を公約に掲げたが、目標に遥かに下回っており、3年間で40万人にすぎない。青年失業者は8・5%を記録、前政権末期の7・1%よりさらに悪化している。さらに深刻なのは家計負債が800兆ウォンに迫り、この2年間で100兆ウォン以上も増えていることだ。

 いずれも庶民生活を圧迫している数値だが、政界の政策通や経済学者からは次のような厳しい指摘も聞かれる。

 「厳しい庶民経済は、世界金融危機に大きな原因があるが、経済体質の強化をおろそかにした」「金融危機克服に際し、土木中心に過度な財政出動で負債を増やし、それが結局インフレと伝貰高の原因をつくった」「成長の果実は金持ちと輸出大企業に回り、貯蓄銀行は破綻し庶民経済は打撃を受けている」

 残り任期に李政権は何をすべきだろうか。まずは物価高に対処し、口蹄疫被害の後遺症から立ち直ることが当面、最大の課題だ。青年失業、少子高齢化などの難題解決も急がれる。社会のあらゆる格差を是正し、「公正な社会」を実現するため、具体的なビジョンを提示することも求められる。

 従来の政権に比べ、レームダック化現象はまだみえないようだが、来年が大統領選挙の年であり、実質的に大統領としての力を発揮できるのは今年をおいてない。庶民生活の改善ための果敢な政策が望まれている。