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2011/04/22

<総合>原発依存から脱却・自然エネルギー開発に弾み

  • 原発依存から脱却・自然エネルギー開発に弾み

    慶尚南道漆谷の太陽光発電所に設置されたソーラーパネル

 福島第1原子力発電所の事故は世界の原子力政策の見直しを迫っている。韓国は安全性を強化した上で原発推進政策を継続する方針だが、原発依存から脱却するため、太陽光、風力、潮力、地熱、バイオマスなど自然エネルギーの開発に弾みがつきそうだ。太陽光発電産業は韓国でも成長著しく、今年の市場規模は10兆ウォンに倍増する見通しだ。韓国西海岸は干満の差が大きく、潮力発電に適していると評価されていたが、世界最大の仁川潮力発電事業も再び動き始めた。全羅南道で進められている大規模風力発電事業には海外の有力メーカーも注目、投資申し入れが相次いでいる。

 韓国太陽光産業協会がまとめた報告書によると、韓国の太陽光発電産業の今年の売上高は前年の2倍増の10兆4265億ウォンに達する見通しだ。07年の4400億ウォンに比べ20倍以上の拡大であり、急成長ぶりが分かる。太陽光産業の今年の売上高見通しを部門別にみると、①太陽電池モジュール3兆3707億ウォン②太陽光発電素材のポリシリコン2兆2600億ウォン③ウエハー2兆649億ウォン④セル(発電素子)1兆950億ウォンなどとなっている。

 ポリシリコンでは韓国最大手のOCI(旧東洋化学)が積極的な投資で生産量を拡大しており、昨年には韓国シリコンとKCC、今年は熊津シリコンが生産を開始した。報告書は、韓国のポリシリコン生産量は5万7800㌧に達すると予想した。ウエハーとセルのメーカーも投資規模を増やしており、モジュールは生産量が前年比77%増の320万㌔㍗を超えると見込まれる。

 太陽光発電産業は、半導体や液晶ディスプレーに代わる新たな成長産業として脚光を浴びており、各企業の新規参入も相次いでいる。今年に入って、ハンファグループが新法人、ハンファソーラーエナジーを設立、太陽光発電事業に新規参入、ポリシリコンから発電事業に至る太陽光の完全な垂直系列化をすすめている。現代重工業は太陽光・風力事業を専門に担う「グリーンエネルギー事業本部」を新設、両分野で16年には4兆ウォンの売上高をめざしている。

 OCIは20年までに10兆ウォンを投入し、西海岸の新万金(セマングム)干拓地で太陽光発電素材であるポリシリコン、カーボンブラックなどの生産工場を建設する計画だ。投資が終了すれば、同社のポリシリコン生産能力は3万5000㌧から11万㌧に拡大し、世界的なポリシリコンメーカーになる。京畿(キョンギ)道・高陽(コヤン)のKINTEXで開かれた太陽光発電産業の見本市「エキスポ・ソーラー」で、サムスン電子とLG電子は競うように高出力の太陽電池モジュールを公開した。一方、韓国科学院の研究チームが低価格で耐久性に優れた太陽電池の基幹技術を開発する成果もあげている。