国連総会は21日、潘基文(パン・ギムン)・事務総長の2期目続投を加盟国192カ国による全会一致で決めた。任期5年。来年1月から新たなスタートを切る。続投が決まった潘事務総長は大きな拍手を受けて入場、受諾演説で「国連の役割は先導することだ。未来を見据える時、われわれは一致した行動をとらなければならない」と述べた。潘事務総長はまた、「何かを始めるだけでは駄目で、結果を出さなければならない。結果とは実感できるもの、世界が変化していることを感じることができる結果が必要だ」と力説した。
今回の潘事務総長の再任推薦決議は、安保理理事国15カ国と国連の全会員国を代表する5地域グループ議長が共同提案。対立候補もなく、満場一致の再選決定だった。事務総長の任期は5年で2期10年務めるのが慣例。潘氏以前の事務総長7人のうち、ガリ事務総長(エジプト出身)を除く6人が全員続投した。
総会場で金星煥(キム・ソンファン)・外交通商部長官は、「韓国国民と韓国政府はより良い国際社会のため、強力な国連をつくろうとする事務総長と共に進んでいく」と続投を歓迎した。
2期目の課題は多い。国連には国際平和、安全保障から開発、人権など国際社会が直面する様々な課題が山積している。特に核軍縮、原発の安全基準の強化、気候変動、途上国開発などにどう取り組むのか真価が問われる。
潘事務総長は受諾演説で、これらの課題にも触れ、「すべての問題でわれわれの究極的なパワーは協力だ。今後数カ月間、皆さんの意見とアイデアを入れて、9月の定期総会で広範囲な長期ビジョンを示す予定だ」と明らかにした。
潘事務総長は、国連本部で韓国人特派員らと会見し、「国際社会は韓国に期待している。韓国はその位置に見合った寄与をしなければならない」と強調した。国際社会が考える韓国に対する期待は韓国が考えるものよりもずっと高いと指摘し、「多くの開発途上国が私の顔を国連事務総長としてだけでなく、韓国人、経済開発と民主主義に成功した国出身の事務総長として見ている」と語った。
また、韓半島平和問題に関しては、当事者が直接対話を通じ交流・協力を拡大し、非核化問題は6カ国協議の枠内で解決するというのが自身の立場だと説明。国連は問題解決へ向けて側面から支援していくとし、「適切な時期と懸案解決に対する期待をみて(訪朝時期を)決定する」と訪朝の考えを示した。
潘事務総長の1期目は平坦ではなかった。就任当初は指導力に対する批判も受けた。欧州の先進国からは「存在感とリーダーシップ不足」と批判され、アフリカやアラブなどの途上諸国からは「親米派」と冷ややかな視線も向けられた。
だが、勤勉、誠実を信条に説得で調整するリーダーシップを発揮し、最近では独自色も打ち出した。特に、今春の「アラブの春」への対応は迅速で、反体制派を武力弾圧したリビア事態ではいち早く「市民の保護」を訴えるなど積極的な動きをみせた。福島原子力発電所事故後は、原発の安全性に関する首脳級会談の開催を打ち出した。
一方、気候変動問題を地球的な政策課題として確立させたのは、潘事務総長の最大の功績と評価されている。また、開発途上国のグリーン経済を支援する国際社会の財源確保にも力を入れている。
国連関係者によると、潘氏は事務総長就任以降、地球を毎月1周するほどのハードなスケジュールをこなしており、今月13日に迎えた67歳の誕生日も南米歴訪中にバスの中で過ごした。精力的な活動で2期目へ向けた活躍が期待される。
◆李大統領が続投歓迎◆
李明博大統領は22日、潘基文・国連事務総長に電話をかけ、「誠実で謙虚な姿勢を世界の人々が高く評価し、全面的に支持した結果」だと述べた。