韓国と人口5億人を有する世界最大の経済圏であるEU(欧州連合)とのFTA(自由貿易協定)が1日午前零時を期して暫定発効する。FTA発効で、韓国は7年以内に、EUは5年以内に相手側から輸入される全ての工業製品に対する関税を撤廃する。2018年7月1日から韓国・EU間は関税障壁のない共同市場になる。貿易だけでなく、投資、サービスなどの分野でも交流が拡大する見通しだ。
今回の暫定発効は、一部EU加盟国の批准手続きがまだ残っているためで、正式発効までには2年ほどかかる見込み。だが、EU加盟国全体の同意が必要な文化協力、知的財産権の刑事執行分野を除く協定全体の99%が履行可能なため、事実上の正式発効とみることができる。
韓国とEUが相互に関税を撤廃する工業製品は、韓国側が9404品目で、EU側は7398品目。FTA発効即時に撤廃されるのは、韓国側が自動車部品、カラーテレビ、織物製衣類など8535品目(90・7%)、EU側が自動車部品、冷蔵庫、薄型ディスプレーなど7201品目(97・3%)となっている。
また、3年後の14年7月までには韓国側が95・8%、EU側が99・4%の品目の関税を撤廃する。EUが3年内に撤廃する品目には、排気量1500cc超の乗用車や電子レンジ、船舶など韓国の主要輸出品の大部分が含まれている。
双方は1500cc以下の乗用車を5年以内に相互撤廃し、EU側は16年7月1日から工業製品の対韓輸入をすべて無税にする。韓国側は建設重装備や純毛織物などを7年以内に撤廃し、工業製品の対EU輸入を完全無税にする。農水産物ではワイン、紅茶、コーヒー生豆など610品目が即時撤廃され、豚肉、ビールなどは2~10年にかけて撤廃される。コメ、トウガラシ、ニンニクは今回の関税撤廃対象からは除外された。
欧州27カ国が加盟するEUのGDP(国内総生産)は16兆4000億㌦(09年)で、世界GDPの約30%を占め、米国を上回る。韓国とEUの貿易額は昨年922億㌦に達し、中国に次ぐ2番目の貿易相手であり、FTA発効で貿易増大が期待される。EUの平均関税率は5・3%で米国の3・5%より高く、FTA効果は大きい。
通商交渉本部関係者は、「韓国・EU間のFTAはこれまでのFTAと異なり、5年以内にほとんど関税が撤廃されるので、経済的効果が非常に高い」と話した。
FTA発行後の経済効果は、今後10年間に韓国のGDPを最大5・62%増やすと分析されている。雇用増大効果は28万人に達する。
アジアの中でEUとFTAを発効したのは、韓国が初めて。日本や中国の企業は、EU市場で価格競争力が高まる韓国企業との競争に対応が迫られている。また韓国市場では、EU企業が積極的なマーケティングで、日中が占めているシェアを奪うのではないかと懸念する声も聞かれる。韓国・EU間のFTA時代到来は周辺諸国にとっても大きな関心事になっている。