「開催都市はピョンチャン」――ロゲ会長の発表の瞬間、韓国の大招致団から大歓声があがった。3度目の挑戦で悲願を果たした喜びが炸裂した。IOC(国際オリンピック委員会)は6日、南アフリカ共和国のダーバンで総会を開き、2018年冬季五輪の開催地を韓国の平昌(江原道/カンウォンド)に決定した。IOC委員95人が投票、平昌は第1回投票で過半数を大きく上回る63票を獲得、独ミュンヘン(25票)、仏アヌシー(7票)に圧勝した。
韓国での五輪開催は1988年のソウル夏季五輪以来30年ぶり。アジアで冬季五輪が開催されるのは札幌(72年)、長野(98年)に続き3度目となる。
平昌招致団は今回、「新しい地平」のスローガンを掲げ、平昌開催がアジア地域での冬季スポーツの裾野を広げ、新たな市場開拓につながるとアピールした。この戦略に沿って、雪のない国の子どもを平昌に招待して冬のスポーツに親しむ機会を与える「ドリーム・プログラム」を展開、参加者はすでに900人を超えた。
広報大使を務めるフィギュア女王の金妍兒(キム・ヨナ)さんも、現地で南アフリカの青少年を集め、フィギュアのレッスンをするなど招致のための活動を展開。ミュンヘンのカタリーナ・ビットさんとの新旧女王のスター対決が平昌の知名度をあげる効果をもたらした。
感動を呼んだのはトリノ五輪フリースタイルスキー・男子モーグル銅メダルの韓国系米国人のトビー・ドーソンさんのプレゼン。幼少期に孤児になり、米国人の養子になった自身の過去を振り返り、「欧州、北米にはある環境が私の母国にはなかった。平昌の掲げる新しい地平のゴールは明快」と述べ、将来を担う若い世代にチャンスを与えてほしいと訴えた。
平昌開催は、新たなスポーツ市場を開拓するIOCにとっても最良の選択となった。
今回の圧倒的な票差について消息筋は、「46人のIOC委員がいる欧州票を相当切り崩したのは間違いない。最近のパリでのK-POPの大反響、韓国人5人が上位入賞したチャイコフスキーコンクールの席巻、さらにEU(欧州連合)とのFTA(自由貿易協定)発効で韓国商品にも関心が高まっている。全体的に韓国のイメージアップが平昌開催を後押した」と分析した。平昌の競技会場や宿泊施設、交通網などのインフラも高い評価を受けた。すべての競技会場を30分で移動できるようにし、冬季五輪史上最もコンパクトとアピール。13会場のうち、スキーのジャンプ台など7会場はすでに完成している。
宿泊施設は2万5000室以上を準備。スキー会場となる竜平(ヨンピョン)リゾートには6000室分のホテルを新設した。ソウルからKTX(韓国高速鉄道)で50分でいけるように計画している。
平昌冬季五輪開催日は2018年2月9~25日の予定。アジア冬季スポーツの拠点をめざす平昌が新たな冬季五輪の歴史をつくるはずと期待が膨らんでいる。
◆平昌とは 平昌は東北部に位置する人口4万5000人の町。韓国有数のリゾート地で、冬のソナタの撮影地として話題を呼んだ。99年の冬季アジア大会開催の実績がある。