世界の半導体メーカーの間で次世代半導体メモリーの開発・商用化競争が激化している中、サムスン電子総合技術院は12日、既存のフラッシュメモリーを代替できる新概念のReRAM半導体を開発したと発表した。今回開発したReRAMは、読み書きの反復が1兆回できる耐久性を備え、処理速度はフラッシュメモリーの1000倍速い能力があるとされる。サムスン電子は2016年までに商用化を実現させる計画だ。メモリー半導体の世界で1位のサムスンがReRAMの量産化に成功すれば、次世代半導体でも主導権を握る可能性が高い。
今回サムスン電子が開発したReRAMは、スマートフォン(高機能携帯電話)やノートパソコンなどに多く使われるフラッシュメモリーと作動原理が全く異なるため、新概念の半導体とみなされている。
フラッシュメモリーはトランジスタを通じて一定量以上の電流を流すことで作動する。これと違い、ReRAMはタンタルオキサイドという酸化物を利用してデータを処理する。酸化物に電流を流す時に生じる抵抗の変化を利用し、データを保存する。
抵抗変化物質として酸化タンタルを使用し、酸素含量が異なる二層にしているが、このような二層構造を適用したのはサムスン電子が初めてで、これが耐久性を飛躍的に高めた。サムスン電子総合技術院の研究員は、「フラッシュメモリーはデータの入力と削除を100万回繰り返すことができるが、ReRAMはその100万倍に達する1兆回程度可能だ」と説明した。事実上、永久に読み書きができる耐久性を備えることになる。
データの保存容量も大幅に増やすことができる。トランジスタを使用するフラッシュメモリーと異なり、ReRAMはダイオードだけで作動するので、10ナノ未満の微細加工が可能になり、大容量のチップを作ることができる。
もう一つの大きな特徴はデータ処理のスピードアップだ。フラッシュメモリーの1000倍ほどの高速処理が可能となる。サムスン電子関係者は、「今のスマートフォンでは作動に若干の時間がかかるが、ReRAMを搭載すればアイコンを押すと同時にプログラムが作動する」と述べた。
既存のDRAMは処理スピードが速いが、電源を落とすとデータが消えてしまう。フラッシュメモリーは電源を落としてもデータは消えないが、消費電力が大きい。次世代半導体のReRAMは電源を落としてもデータは消えず、データ処理はDRAMより早く、消費電力も少なくて済む。
次世代半導体開発は、2000年から韓国メーカー以外に日本のパナソニックやシャープ、富士通、米国のIBM、HP(ヒューレット・パッカード)など世界の各メーカーで進められてきた。一部開発に成功したメーカーもあるが、商用化は実現していない。
サムスン電子は、16年までにスマートフォンやUSB、デジタルカメラ、ノートブックパソコン用に商用化を進める計画だ。商用化一番乗りはどのメーカーになるのか。次世代半導体をめぐる開発・商用化競争は一段と激しくなりそうだ。
◆ReRAMとは Resistance Random Access Memoryの頭文字をとってReRAMあるいはRRAMと呼ばれる抵抗変化式メモリー。電圧(電流)の印加により生じる抵抗変化を利用した次世代半導体メモリー。フラッシュメモリーと同様に電源を落としてもデータを保存でき(これを不揮発性という)、高速でのデータの読み書き、消費電力が少ないという特徴をもつ。フラッシュメモリーやDRAMなどは半導体回路を縮小する微細化技術が限界に達しており、次世代メモリーの開発が急務だ。