世界最大となる西海岸の始華湖(シファホ)潮力発電所が3日、発電を開始した。国土海洋部と韓国水資源公社は当初、11月から本格的な電力生産に入る計画だったが、夏に電力需要が急増するため、試験運転が終わった6つの発電機から本格稼働、16万人が使用できる1500万㌔㍗時の電気の供給を始めた。残り4基は11月まで試験運転を行い、段階的に稼働する予定だ。
ソウルから南西へ約40㌔。韓国初かつ世界最大の始華湖潮力発電所は、京畿(キョンギ)道始興(シフン)市の烏耳島(オイド)にある始華湖と西海の間に建設された防潮堤に立地。発電機10基が一列に並んでいる。
総事業費3551億ウォンを投入、04年12月の着工から7年ぶりに発電開始となった。現在、発電所外部の工事と発電所のそばの生態公園や広報館など、仕上げの工事だけを残している。全基が稼動する12月に総合竣工式を行う予定。
始華湖潮力発電所の発電設備容量は10基合計で25万4000㌔㍗。66年に建設された当時、世界最大のフランスのランス潮力発電所の容量(24万㌔㍗)を上回る。年間の発電量も1時間当たり5億4400万㌔㍗に達し、韓国最大の昭陽江多目的ダムの1・56倍になる。12月からは50万人分の家庭に潮力が作り出した無公害クリーンエネルギーを供給できる。
国土海洋部によれば、年間86万2000バレルの原油輸入を代替、1000億ウォン近く節約できる。また、年間CO²(二酸化炭素)節減効果も31万5000㌧(66億ウォン)にのぼる。
始華湖潮力発電所関係者は、「国内で初めて建設された始華湖潮力発電所は世界最大であり、韓国が潮力発電の関連設備建設や技術を輸出するうえでも大いに役立つ」と強調した。
始華湖潮力発電所は、満ち潮の時だけ発電が可能な漲潮式発電方式で稼働する。1日2回、4時間ずつ発電機を動かす。引き潮の時、始華湖の海水面の高さが3㍍下がった状態で水門をふさぎ、満ち潮が始まれば、潮差が約2㍍になった時に水門を開き、流れ込む海水が直径7・5㍍、重さ53㌧のプロペラを作動させて発電するという原理だ。
同潮力発電所関係者は「地球上で西海岸のように潮力発電ができる天恵の自然環境を備えた場所は幾つもない。これをうまく活用して代替エネルギーの比率を増やし、化石燃料が枯渇する時に備えなければならない」と強調した。西海岸は干満の差が大きく、潮力発電の条件が整っているとされ、早くから妥当性調査が行われていた。
始華湖潮力発電所のほかにも、忠清(チュンチョン)南道泰安(テアン)郡と瑞山(ソサン)市一帯の近海(加露林/カロリム湾)、仁川(インチョン)市江華(カンファ)郡華道(ファド)面一帯の近海(江華)、忠清南道唐津(タンジン)郡と京畿道平澤(ピョンテク)市近海の(牙山/アサン湾)、江華島南端と永宗島(ヨンジョンド)北端(仁川湾)の西海岸4カ所で、潮力発電所の建設が推進されている。
いずれも始華湖潮力発電所の設備容量と投資額を上回り、世界最大の潮力発電所が西海岸に続々誕生し、潮力発電のメッカとなりそうだ。
◆潮力発電とは 潮の干満で海水が移動するエネルギーを電力に変える発電方式。風力発電、太陽光発電などと同様にCO²を排出しないため、環境対応型の発電方式として注目されている。