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2011/08/26

<総合>カダフィ政権崩壊・韓国、リビアへ再進出急ぐ

  • カダフィ政権崩壊・韓国、リビアへ再進出急ぐ

    大宇建設が進めるリビアの建設現場

 内戦が続いていたリビアで、反政府勢力が首都トリポリを制圧し、カダフィ政権は事実上崩壊した。カダフィ政権後の統治を担う新指導部は、半年に及ぶ内戦で荒廃した国土を再建、新たな国造りに取り組むことになる。これを受け、建設分野などで多くの企業が進出していた韓国は、リビア再進出に向けて積極的に動き始めた。リビアの新たな国造りを支えるべく、各種工事の早期再開をめざしている。

 政府は、対リビア支援と関係改善に総力を傾ける方針だ。外交通商部関係者は、「リビア内戦で発生した難民救済のため、WFP(世界食糧計画)などの国際機関を通じて100万㌦の人道支援をしたが、今回のトリポリ陥落を受けて、反カダフィ勢力を結集したNTC(国民評議会)に人道支援として100万㌦を直接支援する方針だ」と明らかにした。

 国土海洋部は、リビアとの経済共同委員会を早期に設立し、韓国企業の受注活動を支援する方針だ。また、EDCF(対外経済協力基金)やKOICA(韓国国際協力団)の活用も検討している。

 政府は、6月末に実務代表団を反体制側の拠点都市ベンガジに派遣、NTCと接触。NTC側は、「韓国人の安全のために努力している。内戦が終われば工事が中断した現場で韓国の建設企業が復帰できるように最善を尽くす」との回答を得たという。

 リビアの建設市場に再進出するため、建設各社は、現地にスタッフを派遣するなど素早く動いている。

 トリポリ、ベンガジなどに工事現場を持つ大宇建設は、撤退していたトリポリ支社長を現地に派遣し、工事再開の準備を急いでいる。大宇建設関係者は「ベンガジには本社職員2人と外国人30人を残留させ、現場を守っている。市民軍側とも信頼関係を築いている」と語った。リビアで総額26億㌦にのぼる5つの工事を進めている現代建設も工事再開の準備に入った。現代建設関係者は、「現在はリビア人に現場を任せているが、今後、段階的に装備と人員を投入する方針だ」と明らかにした。

 リビアは、原油、天然ガスなどの埋蔵量が多い資源大国だ。石油施設のほとんどが国有化され、生産性が落ちた石油関連設備の発注が今後増える見込みだ。また、慢性的な電力不足を解消するための複合火力発電所建設や内戦で損傷した道路、住宅などの事業も増える見通しだ。

 大韓貿易投資振興公社(KOTRA)によると、リビアの国家再建事業は石油精製施設、電力、住宅、港湾、道路などのインフラ事業を中心に1200億㌦にのぼると見られている。そのうち韓国企業が400億㌦程度受注できると期待している。韓国企業は、これまでリビアで発注された事業の3分の1を受注した実績があるからだ。

 だが、楽観できないと見る企業も少なくない。欧州諸国が反カダフィ政権軍を持続的に支援してきただけに、欧州企業に特典が与えられると予想されるなど、旧政権時代とは様変わりする可能性があるからだ。

 ちなみに、韓国の建設企業はサムスン物産が住宅工事を初受注した1977年以降、295件・364億㌦の工事を受注した。サウジアラビア(845億㌦)、UAE(アラブ首長国連邦、577億㌦)に次いで3番目に受注額が多い。

 海外建設協会によると、内戦勃発時には21社(下請け含め72社)が発電所、学校、病院、住宅など47件・100億㌦相当のプロジェクトを進めていたが、内戦勃発後に全社が撤収した。発注先からの未収金は3000億ウォンにのぼるとされる。