政府は7日、朴宰完(パク・チェワン)・企画財政部長官主宰で税制発展審議委員会を開き、来年から施行する税法改正案を確定した。主要内容は、(1)所得税と法人税の最高税率を2%引き下げる計画を撤回する(2)青年層を新規雇用する中小企業に社会保険料の免除などの特典を与える(3)複数住宅保有者に対して譲渡所得税の長期保有特別控除を復活させ、最大30%まで税控除する――などとなっている。特に、08年から進めてきた減税政策が「大企業・高額所得者優遇」との批判を受け、軌道修正したのが大きな特徴だ。改正案は立法予告を経て、今月末に国会に上程される。
朴長官は、今回の税法改正案について「市場経済が持つ脆弱性を補完する租税の積極的な役割に重点を置いた」とし、「共生発展」による先進経済へ向けた最初の総合対策だと自賛した。だが、政府の当初予定通りの改正案とはならなかった。
当初、所得税の最高税率は35%から33%に、法人税の最高税率は24%から22%にそれぞれ引き下げられる予定だった。08年から最高税率以外は段階的に引き下げられ、最高税率は来年から引き下げるのが政府の計画だった。政府はこれまで、「労働・投資意欲、消費余力増加で経済成長を誘導し、中長期的に歳入拡大と財政健全性にも効果がある」との立場で減税政策を進めてきた。
ところが、今回の税法改正案発表の直前に与党・ハンナラ党との協議の結果、最高税率引き下げ撤回となった。「政府が与党に白旗を上げた」とも評されているが、「大企業優遇、金持ちのための減税」という世論の批判の高まりが背景にあり、事実格差が拡大している現実がある。また、08年の世界金融危機による莫大な財政支出で、財政健全性が悪化しており、李明博大統領が均衡財政目標を1年前倒し、13年に実現すると発表したことも影響している。
いずれにしても、李政権は、企業フレンドリーを掲げ、法人税と所得税引き下げを軸とする減税政策を進めてきたが、今回の法改正で減税政策を事実上放棄したことになる。ただし、最高税率が適用される課税標準は500億ウォン超で、2億ウォン超過~500億ウォン以下については法人税を20%に引き下げて適用する。
今回の最高税率引き下げ撤回で2兆8000億ウォンの税収増加が見込まれ、財政健全性と庶民及び中産層のための福祉財源に活用する方針だ。
今回の改正案は、雇用促進にも力を入れている。大企業が工場などへの投資に対して4~6%を法人税から差し引く臨時投資控除制度を廃止、代わりに雇用創出投資税額控除制度に吸収統合した。これにより、雇用が維持されないと税制上の恩恵が得られなくなるが、雇用を増やす中小企業には、純増人員に対して雇用者が負担する年金、健康保険など社会保険料を13年まで税額から免除される。また、常勤1000人未満または資産5000億ウォン未満の中小企業に就職した青年(満15~29歳)に対しては、勤労所得税が13年まで免除される。
中小企業中央会は、「庶民・弱者支援を強化し、大企業・中小企業間の公正取引秩序確立に集中した改正案」と評価している。
複数住宅保有者の長期保有控除は、3年以上保有を条件に、毎年3%、最大30%まで税控除する。この控除は6年ぶりの復活で、沈滞した不動産取引を活性化する狙いがある。ただし、非業務用土地は適用外だ。