リビアの最高指導者だったカダフィ大佐死亡を受け、韓国の建設業界は、8カ月間続いた内戦で中止となった工事の再開に向け活発に動き出した。現地に次々と人員を派遣する一方で、巨額にのぼる国家再建プロジェクトの受注準備にも取り掛かっている。政府も、戦後の復旧事業の支援に力を入れることを決め、「ポスト・カダフィ」時代に対応する対策を急いでいる。
リビアに進出している韓国の建設各社は、反カダフィ派組織のNTC(国民評議会)が8月末に首都トリポリを掌握した後、韓国の建設企業は「ポスト・カダフィ」時代に向け準備してきた。
KOTRA(大韓貿易投資振興公社)によると、今後リビアでは製油施設や電力施設、住宅、港湾、道路など計1200億㌦の再建事業の発注が見込まれる。韓国企業はこれまでリビアが発注したプロジェクトの約3分の1を受注してきた実績があり、最大400億㌦の再建事業を受注できると期待している。
だが、フランスや英国など欧州建設企業も再建事業の受注合戦に乗り出しており、楽観はできない。体系的な事前準備と受注戦略が必要と指摘されている。
国土海洋部によると、リビアに進出している韓国の建設企業は現代建設、大宇建設など21社。20カ所で100億㌦相当の工事現場をもつ。
国内建設会社では初めて、NTCからビザを受け、職員20人を送った中堅ゼネコンの新韓はリビアで住宅事業を中心に16億2000万㌦の工事残高があり、年内に100人を追加で派遣し、工事再開を急ぐ。
トリポリのウェスト発電所など計5件・26億㌦の工事を行っている現代建設も職員3人を派遣し、11月から工事現場を再運営する。
ウェスト発電所やベンガジの送電線建設に携わった同社関係者は、「まだ事態が収束していないので、先発隊のみ派遣して現地の情勢を注視している。徐々に人員を増やして事業を再開する予定」と話した。
グッバ市で2000戸の住宅団地を建設している現代アムコも9月末、職員5人を派遣したのに続き、今月末まで10数人を追加で送り、年内に工事再開をめざす。リビアの内戦に巻き込まれた韓国建設会社の工事現場は、当初予想より被害が大きくないという。
一方、政府も対策を急いでおり、国土海洋部関係者は「高付加価値のプラントや発電所の工事受注を支援する方針だ」と語った。
証券市場では、リビアでの工事再開や再建特需への期待で建設株が上昇している。特に、韓一や新韓、現代建設など、リビア進出建設会社の上げ幅が大きい。