李明博大統領は8日、青瓦台(大統領府)で、韓国を国賓訪問中のチュオン・タン・サン・ベトナム国家主席と首脳会談を行い、原子力の平和利用強化で一致した。会談後に発表した共同声明によると、李大統領は韓国の原子力技術を適用したベトナムの原子力発電所建設と原発人材の養成、技術移転などを提案、今後原発の協力事業を積極的に推進することに合意した。これにより、ベトナムが推進中の第3期原発プロジェクトで、5・6号機を韓国が受注する可能性が高まってきた。
両首脳は会談で、経済発展と気候変動に対応、低炭素化のため原子力発電が引き続き必要だという点で一致、原子力の安全性拡充に徹底を期すことでも合意した。
特に、両国は平和的目的のベトナム原発開発のため共同作成した「ベトナム原発建設総合計画」の内容を承認し、これに則して今後の方策を講じていくことにした。
知識経済部関係者は「まだ受注段階ではないが、これから具体化するだろう」と説明した。実際の契約が成立するまでには、予備妥当性調査や敷地選定、国際承認などを経なければならない。だが、受注に向けて大きく前進したことは間違いない。
両首脳はまた、2015年までに両国間の貿易額を200億㌦に拡大する目標を早期に達成する一方、先月に終了した両国間のFTA(自由貿易協定)共同研究作業をもとに経済・通商関係を大幅に拡大強化することにも合意した。
このFTAについてサン国家主席は意欲的であり、大韓商工会議所など経済4団体主催の9日の懇談会で「韓国とのFTAが締結されることを期待する。両国間のFTA協定は初期交渉段階だが、技術的な問題だけが残っており、間もなく締結されるだろう」と強調した。
首脳会談で李大統領は「1992年の修好以来、政治と経済、通商、文化、教育など多分野にわたって、めざましい発展を遂げた。国防分野まで協力するに至り、貿易と投資がそれぞれ数十倍、数百倍に増えた」と述べ、特に「サン国家主席の訪韓を契機に、両国は原発建設に協力することを対外的に発表した。これは両国間の協力をさらに高める景気になった」と強調した。
これに対して、サン国家主席は「韓国はベトナム最大の投資国の一つであり、わが国に進出している韓国企業が現地の経済・社会発展に寄与している」とし、「交通インフラ建設、鉱物開発、精密加工、輸送及び輸入代替品目生産分野に対する投資増進を歓迎する」と語った。特に、「戦略的なパートナー関係を進化させたい」と力説した。
両国は、修好20周年を迎え来年を「韓国・ベトナム友好親善の年」と宣布し、両国国民間の信頼と友好、互恵的な協力を一層増進するため、様々な交流・記念事業を行うことになった。
サン首席の訪韓は、01年8月の前国家主席訪韓以来10年ぶりのこと。今回の首脳会談を契機に、両国間の協力関係はさらに発展すると期待される。
韓国の原発輸出は、09年のUAE(アラブ首長国連邦)受注後は停滞していた。福島第1原発事故も原発輸出に影を落としていた。
だが、今回のベトナムとの協力合意以外に、トルコからも原発商談への参加を要請されるなど、原発輸出が再び活発化しそうだ。
韓国は、現在21基の原発を保有しており、2030年までに計80基を輸出する計画だ。これにより、世界新規原発建設の20%を占める世界3大原発輸出大国入りを目標にしている。原子力関連産業は自動車、半導体、造船などに続く最も有望な次世代輸出分野に浮上すると見ているからだ。
だが、福島第1原発事故を受け、安全性強化が切実となっており、安全強化策も急がれる。