韓米FTA(自由貿易協定)が来年1月1日に発効する見通しとなった。韓国側の国会批准手続きが遅れていたが、与党・ハンナラ党議員らは22日、韓米FTA批准同意案と14の実施法案を強行採決。交渉妥結から4年7カ月ぶりに発効のための手続きがほぼ完了した。李大統領が27日に署名する予定だ。政府は、来年1月発効に備えて、影響が大きい農業対策などを本格化する方針だ。
国会本会議での採決には、在籍議員295人のうち与党・ハンナラ党議員150余人と未来希望連帯の一部議員ら170人が出席した。採決結果は賛成151、反対7、棄権12。野党・民主労働党の金先東(キム・ソンドン)議員が、与党の国会本会議場占拠に反発し、本会議場で催涙弾を投げつける波乱も起こり、催涙ガスが立ち込める中での採決となった。
批准同意案の国会通過を受け、政府は、外交通商部報道官名で声明を発表、韓米FTA発効に必要な事項を点検し、来年1月1日の発効をめざすと明らかにした。韓米FTAは、韓米が国内での手続きが完了したことを書面で通知してから60日後、または両国が合意した日に発効となる。
今回、批准同意案とともに著作権法・地方税法など、FTA発効のために見直しが必要な14の付随法案が処理された。これにより、著作権の保護期間は従来の50年から70年に伸び、排気量2000㏄以上の乗用車にかかる税金は1㏄当たり220ウォンから200ウォンに引き下がる。
李明博大統領は23日、韓米FTA批准後の後続補完措置を協議する緊急長官会議を主宰、「政府は国会で提起された問題に対し、徹底的に検討する」と言明。「韓米FTAをめぐり韓国社会で対立が続いたが、これ以上の衝突は誰にもプラスにならない。経済領土を広げ競争国より前進できるチャンスに力を合せよう」と訴えた。
また、農業被害に対する懸念について、「被害を補償するとの消極的な姿勢ではなく、農業の競争力を強化する契機にすべきだ。農業も輸出産業として競争力を高められる。インフラを構築して支援すれば、デンマークなど欧州に劣る理由がない」と強調した。
だが、最大野党・民主党や民主労働党など野党議員らは、「国民を無視した強行処理だ」と猛反発、「無効化闘争」を展開すると宣言しており、今後の情勢は予断を許さない。孫鶴圭(ソン・ハッキュ)・民主党代表は23日の会見で「現政権で無効化を実現させることができなかった場合は来年の政権交代を通じ、FTA無効化を宣言する」と強調した。
米通商当局は、韓国側の批准を受け、来年初めのできるだけ早い時期に発効するよう努力すると明らかにした。韓国政府が「来年1月1日発効」と具体的な時期を言及したのに比べ、やや慎重だ。
KDIなど10の国策研究機関の分析によると、農水産業被害は15年間で12兆7000億ウォンにのぼる。このうち最も被害が大きいのは畜産業の7兆2993億ウォンだ。政府は、対策として今後10年間に21兆1000億ウォンを支援する方針だ。内訳は被害補填に1兆3000億ウォン、競争力強化に7兆ウォン、農漁業体質改善に12兆8000億ウォン。
一方、全国経済人連合会など主要経済団体は、「韓国の貿易と経済の発展史で画期的な転機になる」と一斉に歓迎した。
KDIなどによると、GDP(国内総生産)が14兆3000億㌦(世界GDPの23%)の米国とのFTAで韓国のGDPを5・66%押し上げ、今後15年間に35万人分の雇用創出効果がある。
韓米FTAは、競争相手国への影響も大きい。特に中国は韓米FTAが批准されたことを受け、韓中FTA交渉を早期に始めたい意向だ。韓日FTAや韓日中FTAにも刺激となりそうだ。