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2011/12/02

<総合>韓国の開発経験参考に・援助される国から援助する国へ

  • 韓国の開発経験参考に・援助される国から援助する国へ

    釜山市のBEXCOで開かれた世界開発援助総会

 新しい開発援助のあり方を協議する世界開発援助総会が釜山市のBEXCOで11月29日から3日間開かれた。「援助から開発へ」をスローガンに、160カ国・地域の首脳や閣僚級の政府代表、70を超える国際機関、市民団体、議会の代表ら3500人以上が出席、低開発国の開発戦略を集中的に論議。新たなグローバルパートナーシップに関する釜山宣言を採択、具体的履行公約を盛った政治宣言文を発表した。

 世界援助総会は、開発援助分野の世界最大の会議で、第1回総会は2003年にローマで開かれ、パリ(05年)、ガーナのアクラ(08年)に次ぎ今回が4回目で、アジアでは初開催。特に、援助される側の国だった韓国が、援助を供与する国として会議を主催する歴史的な会議となった。

 李明博大統領は30日の開会式であいさつし、「先進国と開発途上国の開発格差が深刻化した場合、人類の共同繁栄の障害になる懸念がある」と指摘。韓国はODA(政府開発援助)規模を2015年までに今年の2倍に拡大する韓国政府の計画を予定通り進めていくと強調した。また、韓国が戦後、独立国では世界で初めて援助を受ける国から供与国となったと紹介。韓国の成功と失敗の経験を開発途上国と共有し、双方とも成長するパートナーになるとの考えを示した。

 韓国のODA規模は00年の1億1599万㌦から年々拡大、昨年は11億6770万㌦に達した。

 今総会の議論の焦点は援助の効果的な活用で、「援助が実質的な効果を生むためには、援助対象国が主体となって開発政策を打ち立て、供与国はこれに合わせて援助すべき」という意見でまとまった。しかし援助を与える先進国と援助を受ける低開発国の立場には多少の違いがある。先進国は援助を受ける国の腐敗清算と政府の能力強化を、低開発国は単純支援でなく先進国市場への接近など根本的対策を強調。

 また、新たな援助供与国として登場した中国やブラジル、インドなどの新興国が包括的なパートナーシップを構築し、先進国と開発途上国間の「南北協力」、途上国間の「南南協力」、南南協力に先進国を加えた「三角協力」を推進することで合意した。

 総会には、潘基文(パン・ギムン)・国連事務総長、ヒラリー・クリントン米国務長官、トニー・ブレア前英首相らも出席、活発に発言した。特に、韓国の役割に関する発言が目立った。

 援助する側の代表格、英国のブレア前首相は、「韓国は援助を受ける国から援助する国に変わった代表的な成功事例だ。韓国は多くの開発途上国に経済開発の経験やさまざまな教訓を伝授できる。韓国は開発援助問題を扱う上で最適な国家」と評価した。

 援助される側の代表、エチオピアのメレス・ゼナウィ首相は「韓国の開発経験には大きな関心がある。私が興味を持つ点は、韓国が豊かになるためにしたことと、そうなるまでの経験だ。経済開発について、朴正煕(パク・チョンヒ)・元大統領に学ぶ点がある」と述べた。


◆政治宣言文発表◆

 今総会で発表された政治宣言文は、①開発途上国の主体性②成果志向③透明性④責任性の4原則を提示し、①南南協力と三角協力の強化②開発財源を動員するための援助の触媒役割強化など4大行動計画を規定。

 主体性を原則にしたのは、援助政策を供与国主導から受恵国中心に変えようと資金を受ける側が主体性を強め、開発戦略を樹立することが重要になる。また、供与主体を西洋先進国に任せるのでなく、新興国や民間の役割に大きく期待している。