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2012/04/13

<総合>逆風の中与党勝利・セヌリ党、過半数の152議席

  • 逆風の中与党勝利・セヌリ党、過半数の152議席①

    単独過半数の勝利を導いた朴槿惠・セヌリ党非常対策委員長も笑顔

 中央選挙管理委員会の集計によると、11日行われた第19代総選挙(300議席)で与党・セヌリ党が、単独過半数の152議席を確保した。劣勢をはねのけての逆転勝利だ。民主統合党は127議席を確保、現有80議席を大幅に上回ったが、第1党奪取に失敗、敗北を認めた。

 投票は全国1万3470カ所の投票所で一斉に行われ、即日開票された。12日午前1時20分の集計で、セヌリ党が過半数を制したことが判明。130~140議席で第1党が決まるとの大方の予想を覆す結果だった。

 2大政党以外に統合進歩党が13議席、自由先進党が5議席、その他無所属が3議席となった。

 今回の選挙では、物価高など庶民生活を悪化させたとする李明博政権に対する批判の高まりから与党に逆風が吹いていた。野党は、民主統合党と統合進歩党が「現政権に対する審判だ」と選挙協力。国会の勢力図が大きく変わると予想されていた。

 これに対し、セヌリ党は朴槿惠(パク・クネ)・党非常対策委員長が選挙の陣頭指揮をとり、支持を訴え、終盤では接戦にまで持ち込んだ。結果は、基盤の大邱(テグ)・慶尚道(キョンサンド)以外に江原道(カンウォンド)と忠清道(チュンチョンド)でも躍進した。首都圏では苦戦、議席を大幅に減らしたが、単独過半数を制したのは予想以上の勝利だった。

 一方の民主統合党は、庶民経済政策でセヌリ党と大きな違いを出せなくなり、韓米FTA(自由貿易協定)の再交渉・廃棄の過激な公約が裏目に出た格好となった。投票率が60%台に届かず、若者票を十分取り込めなかったのも敗因だ。だが、前回議席を47議席上回り、セヌリ党との議席差を大幅に縮めた。

 第1党奪取に失敗した民主統合党は今後、難しい政局運営を強いられそうだ。政府機関の民間人監視問題で李政権追及の勢いが削がれ、福祉拡大政策などについても支障が出そうだ。

 与野党とも大物議員の落選が相次いだのも今回の選挙の特徴だ。セヌリ党は、6選をめざした洪思徳(ホン・サドク)候補や洪準杓(ホン・ジュンピョ)元党代表、権寧世(クォン・ヨンセ)党事務総長らが落選。民主統合党でも、前回の大統領選に出馬した鄭東泳(チョン・ドンヨン)候補や千正培(チョン・ジョンベ)元法務部長官が議席確保に失敗。自由先進党の沈大平(シム・デピョン)代表も落選した。

 今回の選挙では、小選挙区246人と比例代表54人の国会議員を1人2票制で選んだ。4年前の前回選挙より、小選挙区の定数が1議席増えた。また、今回初めて海外同胞も比例代表で投票を行った。投票率は過去最低だった前回の46・1%を上回る54・3%。

 セヌリ党が単独で過半数を確保したものの、李明博大統領は、厳しい政局運営を強いられそうだ。議席数を大幅に増やした野党側が常任委員会の半数程度を占め、攻勢を強めると予想される。

◆視 点◆

 今回の総選挙で与党・セヌリ党を勝利に導いた非常対策委員会の朴槿惠委員長のパワーが如何なく発揮された。

 選挙戦は当初、李明博政権批判が高まる惨敗ムードの中、現有160議席から100議席割れの懸念もあったが、大胆な方向転換がこの逆風をはね返した。

 まず、党名をハンナラ党からセヌリ党に変更、党を刷新した。李大統領と距離を置き、「誤った過去を清算する」と大企業寄り政策の見直しを約束するなど、朴委員長の必死の訴えが奏功した。成長から分配に舵を切り替え、物価や福祉など庶民経済を重視した公約を相次いで打ち出した。

 野党・民主統合党の韓米FTA破棄論に対しては「こんな勢力に国会を任せることはできない」と訴えるなど精力的な活動が徐々に支持を広げた。「朴槿惠党」と呼ばれもした。朴槿惠氏は12月の大統領選挙の有力候補者として待望論が高まることになりそうだ。