サムスン電子は、テレビやモニター用の中大型LCD(液晶表示装置)を生産するLCD事業部を分離し、サムスンモバイルディスプレイ(SMD)と合併させる方針だ。実現すれば、売上高30兆ウォン規模の世界最大のディスプレー専門メーカーが誕生する。サムスン電子にとっては、今回のLCD部門の切り離しは創立以来最大の構造調整となる。
関係業界によると、サムスン電子は今月末に理事会を開き、業績悪化が続くLCD事業部の分社化を決定する予定だ。3月の株主総会で承認を得て、早ければ5月初めまでに合併作業を終えるスケジュールで検討作業を進めている。17日に事業部職員を対象に構造調整説明会を開き、決定内容を知らせる予定だ。
LCD事業部の昨年の業績は、売上高が22兆6500億ウォンで前年比11%減、営業損益は1兆6630億ウォンの赤字に転落した。業界関係者は、ディスプレー事業の競争力確保のため、分社化→合併に踏み切ったとみている。市況悪化が続く現状では、LCD事業部の業績回復は困難であり、新たな成長分野に力を注げなくなる焦りもあった。
SMDは、携帯電話やタブレット型携帯端末などに使われるOLED(有機EL)専門メーカー。主力商品のOLEDが急成長し、昨年の売上高は6兆5000億ウォンに急増、9000億ウォンを超す営業黒字を出した。最近では、スマートフォン(高機能携帯電話)に続き、テレビにまでOLED市場が広がりをみせている。
こうした中、サムスン内部で合併論が浮上し、大規模投資が必要なディスプレー事業の特性上、次世代ディスプレーのOLED中心に再編すべきとの声も出ている。合併が実現すれば、サムスン物産を抑え、サムスン電子に次ぐグループ第2位の系列企業になる。
サムスンは、今回の合併を通じて、ディスプレー事業を半導体のように世界一に育成する戦略だ。フレキシブルディスプレーや透明ディスプレーなど、新たな市場も広がりをみせている。
サムスンは、08年9月にサムスンSDIのOLED事業部を分離し、09年1月にサムスン電子のLCD中小型事業部と合併させてSMDを発足させた経緯があり、同じようなプロセスを踏む可能性が高い。
一方、今回の分離・合併の話が流れた15日の韓国株式市場では、サムスン電子株が113万8000ウォンまで急騰、半年ぶりの最高値を記録した。