政府は、韓国の開発経験を開発途上国と共有する事業に取り組んでいるが、新興工業国のメキシコとの間でも同事業に着手することになった。G20(主要20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議に出席するためメキシコを訪問した朴宰完(パク・チェワン)・企画財政部長官が2月27日、メアデ財務相と事業推進のためのMOU(了解覚書)を結んだ。今後、メキシコ側が関心を寄せている金属・機械産業の発展戦略や人材開発分野などで韓国の開発経験を伝えることになる。
今回のメキシコとの事業推進は、2010年7月の首脳会議の合意に基づき、今後協議を重ね、共有する開発経験のテーマを確定することになる。韓国側は、研究・諮問のほかに公務員の政策研修や高官級の政策対話も進め、事業効果を高めたいとしている。
韓国は、わずか半世紀で世界の最貧国から世界経済で存在感を高める先進工業国に急成長した。世界で唯一、国際援助を受ける国から国際援助を与える国になった。「その秘密は何か、自分たちも学んでみよう」――近年、途上諸国の間では韓国の開発経験を自国の経済発展に適用しようという動きが広まっている。
政府はこのような動きを捉え、2004年から韓国の開発経験を途上国と共有するKSP(knowledge sharing program)事業を進めてきた。昨年までにアジアや中東、アフリカ、中南米の34カ国に対し、300を超える政策諮問を行い、成果をあげている。
短期間で経済発展を遂げた韓国の経験は、国民の高い教育熱と政府の的確な政策決定、産業化や知識情報社会など時代の要求に応えた教育システムの構築と科学技術の発展にあると評価されている。
このような韓国の開発ノウハウを教え、途上国の人材養成と経済産業発展を助けることは、単なる金銭支援以上に効果的な援助モデルといえそうだ。途上国に対する効果的な支援とパートナーシップ構築は、今後の韓国の発展にとってもプラスになる。
一方、また韓国貿易協会も、06年からODA(政府開発援助)事業の一環として、途上国の公務員招請研修を推進しており、経済成長モデル、貿易発展過程などをセミナー形式の授業や現代自動車など実際の産業現場の見学などで行っている。
韓国の開発経験に注目するのは途上国にとどまらない。一定の経済レベルにあるトルコも08年より韓国から開発戦略、革新体制、産業高度化政策モデルなどといった支援を韓国から受けている。
今回さらにOECD(経済協力開発機構)加盟国のメキシコにも支援することになり、韓国の開発経験は有力な発展モデルになりつつある。