韓米FTA(自由貿易協定)が15日午前零時に発効した。韓国にとって、昨年7月のEU(欧州連合)に続く、世界最大の経済大国とのFTA発効だ。FTA発効で韓米両国は10年後までに全工業製品の関税を撤廃する。農産物・繊維を除いた即時撤廃品目は、韓国が7218品(85・6%)、米国が6178品目(87・6%)。農産物を含む全品目では、韓国が9061品目(80・5%)、米国が8628品目(82・1%)となる。両国の産業界は早くもFTA効果を狙い、活発な動きを見せている。
最も関心の高い乗用車の関税は、米国が現行2・5%を即時撤廃する。韓国は8%の関税を4%に即時引き下げ、4年後に撤廃する。貨物車は、米国が25%の関税を7年間維持後に2年内に撤廃する。韓国は10%の関税を即時撤廃する。また、韓国内での販売が2万5000台以内の場合、米国の安全基準を通過すれば韓国に輸出することができる。
農業分野では、韓国の要求通りにコメとコメ関連製品が撤廃対象から除外された。農業分野の即時撤廃品目は全体の37・9%に達する。韓国への影響が大きい牛肉については、現行40%の関税を毎年2・7%下げ、15年後に撤廃する。また豚肉は10年後に撤廃する。
政府は、韓米FTA発効で韓国が貿易強国としてさらに飛躍することを期待している。対外経済政策研究院によると、韓米FTAの発効10年で韓国のGDP(国内総生産)を5・7%押し上げ、35万人の雇用を創出する効果がある。一方の米国も、韓国向け輸出を年間100億㌦増やし、7万人以上の雇用創出効果を期待している。
韓米FTAは、2007年4月の交渉妥結から4年11カ月でやっと発効した。だが、韓国内には賛否両論が渦巻いている。特に、野党は来月の総選挙と12月の大統領選挙を控え、反対で一致。再交渉や破棄を提起している。韓悳洙(ハン・ドクス)・韓国貿易協会会長は、「そんなことすれば、韓国は世界で最も信頼されない国になる」と批判している。また、企画財政部の朴宰完(パク・チェワン)長官は「内需市場の狭い韓国は、自由貿易で勝負せざるを得ない。そうしてこそ、雇用の場や所得を創出することができる」とFTAの意義を強調した。
だが、世論が野党の主張に傾けば、韓米FTAは発効から1年で最大の危機を迎えかねない。
一方、産業界はFTA発効を歓迎、活発な動きをみせている。
韓米FTAで関税が引き下げられ、排気量2000㏄以上の車に課される消費税も10%から8%に引き下げられた。これを受け、米大手3社は自動車の販売価格を引き下げたほか、日本やドイツのメーカーも米国で生産した自動車の価格を下げている。例えば、フォードの韓国法人は、2012年型「フォード」と「リンカーン」の全車種の価格を最大で525万ウォン値下げすると発表した。
流通業界は、米国からの食品輸入を相次いで計画している。大韓商工会議所の関係者は「韓国産より安い豚ばら肉、チーズ、オレンジなどの食料品の輸入が増加すれば、消費者の負担が減り、選択の幅も広がる」と語った。
対韓投資の関心も高まっている。米企業は法律・会計などサービス市場開放に関心を寄せ、法律事務所の進出を急いでいる。日本企業からの問い合わせも増加している。韓国は安定的なインフラと電力環境に加え、米国やEUへの輸出の際、関税撤廃効果まで得られるメリットがあるからだ。