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2012/06/22

<総合>ユーロ圏債務危機・徹底した抜本対策を

  • ユーロ圏債務危機・徹底した抜本対策を

    演説する李明博大統領

 メキシコのロスカボスで開かれているG20(主要20カ国・地域)首脳会議は19日、欧州の債務危機克服のため、ユーロ圏に対して「すべての必要な政策をとる」よう求めた首脳宣言を採択して閉幕した。李明博大統領はこの会議で「当事国に徹底した抜本的対策を取ってもらいたい」と要求。今後の対策として「グリーン成長は環境と経済が両立するもので、世界経済の持続可能な均衡成長に寄与する」と強調した。欧州危機が新興国にも波及し、世界経済に大きな影響を及ぼしており、危機打開へ向けた対応は待ったなしだ。
 
 李大統領は、今回の欧州債務危機で、世界はもとより韓国も影響を受けているとし、「ユーロ圏の当事国が危機を克服するという強い意思が必要で、抜本的な構造改革によって市場の信頼を回復し成長動力を作っていかなければならない」と訴えた。

 また、ユーロ圏内のシステム改革と経済力の不均衡問題に触れ、「欧州の不均衡問題を早急に解決し、通貨統合だけでなく財政・金融分野でも協力の話し合いが行われることを期待したい」と述べた。この点について首脳宣言は、欧州域内の銀行監督や預金保護の制度も統一する銀行同盟の動きを支持した。

 李大統領は特に、1997年の通貨危機に際し、韓国が実施した構造改革を紹介し、「緊縮と成長については国によって事情や問題もあるが、補完的な妥協点を見つけられる」と強調した。

 李大統領は、今回の危機が続くことによる最も深刻な問題は、雇用不安と若者の失業だとし、危機克服の抜本的な方法として雇用創出政策を優先すべきと力説した。また、「保護貿易が広がる傾向にある。経済が厳しいときこそ、国際通商を促進し、雇用を創出するべきだ」と訴え、新たな保護貿易措置を控える現状維持(スタンドスティル)合意期限の延長を提案。各国から同意を得て2014年まで1年延長することになった。

 李大統領はG20首脳会議で、新興国のリーダーとして先進国と途上国間の懸け橋の役割を担ってきた。今回も調整役が評価された。特に李大統領を中心に韓国政府が主導してきたIMF(国際通貨基金)財源強化問題が、今会議で進展したことは大きな成果だ。当初目標額に近い4560億㌦の拠出が決まったが、韓国は英国と同額の150億㌦を拠出する。また、韓国が先頭に立ち保護主義的な貿易への回帰に反対した点も大きい。

 今回のG20首脳会議は、首脳宣言で様々な対策を打ち出したが、欧州危機の封じ込めの具体策には欠けるとも指摘されており、引き続き対応が求められている。

 李大統領は17日、G20ビジネスサミットで基調演説し、持続可能な成長のための韓国の取り組みとして、①雇用創出に向けた規制の撤廃②グリーン成長の支援③FTA(自由貿易協定)締結推進④大企業と中小企業の同時成長などを紹介した。