ここから本文です

2012/07/20

<総合>極地と海洋研究を本格化

  • 極地と海洋研究を本格化

    南極探査をする国産砕氷船「アラオン号」

 韓国が極地と海洋の研究開発を本格化している。これを担う機関として今月4日に韓国海洋科学技術院が発足した。国土海洋部は、海上プラントや海洋エネルギーなどの海洋新産業を集中的に育成し、極地開発を強化するため、2020年までに3兆6000億ウォンを投じる計画だ。海洋科学技術院はこれら海洋新産業の育成や海洋研究、南極及び北極研究に本腰を入れて取り組んでいく。

 南極開発では、世宗(セジョン)基地に続く韓国第2の南極基地「張保皐(チャンボゴ)科学基地」の建設を計画通り進める。オーストラリアのホバートで最近開かれた第35回南極条約協議当事国会議で、張保皐基地関連の環境影響評価が28カ国の満場一致で通過し、国際的な承認を得た。

 張保皐基地は南極点から南東に1700㌔離れたテラノバ湾近くに建てられる。1988年に建設された世宗基地から4500㌔離れたところだ。4458平方㍍の土地に15棟の建物が建てられる。完工は14年3月を予定している。

 この基地が建設されれば韓国は米国、英国、中国などに次いで世界で9番目に南極に2つ以上の常駐基地を持つ国となる。政府は張保皐基地で南極海、気候変動、宇宙科学、南極地形研究などを行い、韓国の基礎科学力を高める計画だ。また、今後南極地域の資源開発にも備える。

 一方、これまで研究が進まなかったものの、豊富な資源や北極航路の開発などで価値が高まっている北極に関する研究にも力を入れる。

 金滉植(キム・ファンシク)・国務総理は、「北極海戦略」をテーマにしたセミナーで「地理的にも韓国と遠くない北極海の領有権を確保し、エネルギー資源を開発できれば、国益を生み出す新たな源泉になる」と力説した。

 金総理は「北極海は物流の側面でも非常に重要な戦略的意味を持つ。北極海の解氷で新航路が開設されれば、スエズ運河の代わりに北極航路を利用できる」と説明。「時間や距離の側面での効率性はもちろん、世界物流の軸を韓国をはじめとする北東アジアに移せる重要かつ大きなチャンスになることから非常に大きな意味がある」と強調した。

 韓国では、韓国海洋大学が10年に、北極海航路研究センターを設立した。同研究センターは、初の国産砕氷船、「アラオン号」による北極探査航海での同乗プログラムを開発している。

 海洋の研究開発では、海洋R&D(研究開発)実用化センターに次いで、船舶海洋プラント研究所に「海洋プラント産業支援センター」を設置し、海上プラント開発を本格化する。

 気候変動の研究にも取り組み、気象災害による被害を減らすため韓国独自の気候変動予測システムを開発する計画だ。また、発生した二酸化炭素を海底堆積層に貯留することで排出量を画期的に減らすCCS(二酸化炭素回収・貯留)技術の開発を進める。

 開会中に麗水万博で人気を集めているパビリオンの一つに「大宇造船海洋ロボット館」である。この展示館では、6・3㍍の韓国最長身のロボットなどを展示、資源の枯渇に苦しんでいる人類にロボットで希望を与え、新しい可能性を示している。韓国海洋科学技術院では、6000㍍級の深海底無人潜水艇を独自開発しており、潮流、水深、水温などの影響で人間の作業が不可能な所で人間に代わって水中遊泳と海底歩行を行いながら精密な探査及び作業を行なう「多関節複合移動海底ロボット」の15年完成を目標に研究を行なっている。

 石油やガスなどの天然資源を得るためには、さらに深い海の開発が避けられず、海洋・海底用のロボットの開発が今後、本格化しそうだ。昨年、海洋科学分野に配分された研究開発費は約1800億ウォンに過ぎなかったが、今後予算面でもバックアップされる見通しだ。