韓国が新たな代替エネルギー、シェールガス開発に本格的に乗り出した。政府はまず、韓国ガス公社や韓国石油公社などの公企業及び民間企業によるコンソーシアムを組織し、米国とカナダのシェールガス田開発に参入するため、シェールガス鉱区買収の検討を進めており、近く具体化する。
シェールガスとは、地下2~4㌔の堆積岩層に存在する天然ガスのことで、推定埋蔵量は187兆立方㍍に達する。世界各地に幅広く分布しているが、韓国ではまだ発見されていない。
知識経済部は、このような地中深い岩盤から採取するシェールガスの開発を本格化するため、今年5月に官民合同のタスクフォース(作業チーム)を発足させた。シェールガスの開発動向や今後の見通し、国内石油化学産業に及ぼす影響や石油化学企業の海外進出について協議し、シェールガスの開発や導入など総合的な戦略を樹立し、8月末に発表する計画だ。
知識経済部によると、公企業を中心に、今後数年間に数10兆ウォンを投じることが検討されている。韓国ガス公社は、すでに3月に米国の資源会社と契約を締結し、17年から20年間、シェールガスを液化させて年間350万㌧輸入することが決まっている。これは昨年の輸入量の10%以上だ。
韓国はエネルギーの海外依存度が97%に達し、原油やガスの海外鉱区開発・買収により確保した資源の比率を示す自主開発率は13・7%にすぎない。このため、エネルギーの安定的な確保は恒常的な課題になっている。
シェールガスがもたらす「エネルギー革命」は韓国にとってチャンスになり得る。すでに民間レベルでは、開発に使われる部品と装備を供給するなど、シェールガス特需を求め活発な動きが始まっている。
ポスコはガス開発に投入される高級鋼材市場を狙いテキサス州ヒューストンに事務所を開設。米石油協会から認証を受けた高級鋼材と海洋構造用鋼材を新たな収益事業として育成してきたが、シェールガスブームを新成長動力としている。
シェールガスを開発するためには地下深く掘り下げなければならない特性上、米国の開発企業はガス流出の危険をなくすため多少高くても信頼できる企業のパイプを使う。同社ヒューストン事務所によると、低級鋼材に比べ20%ほど高い価格で売れるという。
サムスンエンジニアリングは07年に3人で始めたヒューストン事務所のスタッフを今年111人に大幅増員した。シェールガス特需を見込んでのことだ。昨年には米ダウケミカルからシェールガスから出る物質を加工する工場建設を4億㌦で受注している。
北米の変圧器市場でシェア1位の現代重工業はシェールガス発電所建設が活発になるのに備え、変圧器供給を増やし、今後はタービンやボイラーなどの製品まで拡大する計画だ。SK建設とSKE&Sはシェールガス事業の参加を模索中。
このように韓国の官民は、シェールガス開発参入を活発化させている。専門家からは「エネルギーの安定確保もさることながら、韓国に多額の外貨をもたらした第2の海外建設のようなカンフル剤になるかも知れない」と今後の動を注目している。
◆シェールガス 長い年月をかけて砂や泥が堆積することによってできた固い岩石(シェール)から採取される天然ガス。岩盤の隙間に広がっており採掘が難しく、長い間開発が見送られてきた。しかし垂直に地面を掘った後に地表面と水平に四方をはがせる水平ボーリング工法が開発され、経済性ある採掘が可能になった。
シェールガス田の開発に最も積極的なのは米国だ。米国のシェールガス生産量は、98年には1日2800万立方㍍を下回っていたが、昨年は1億4100万立方㍍へと5倍以上に増えた。ロシアを抜き現在世界一。