欧州の財政危機に端を発した世界経済の停滞の影響を受け、韓国の貿易が急速に縮小している。輸出入とも減少が続き、7、8月と2カ月連続で大幅に落ち込んだ。特に、製造業と内需の不振で輸入額は2010年2月以来、18カ月ぶりの最低水準となった。これにより、輸入の落ち込みが輸出よりも大きい「不況型黒字」が長期化している。大幅な貿易縮小の影響で、今年の経済成長率は2%台に低下する可能性が強まってきた。
知識経済部によると、8月の輸出は429億7000万㌦を記録した。前年同月比マイナス6・2%の落ち込みだ。7月も8・8%減少しており、今年に入って2月と6月を除き、減少が続いている。
1~8月の輸出実績は1・5%減の3627億9000万㌦。このまま行けば、年間でもマイナスに陥ってしまう。近年にない異常事態だ。
8月の輸出実績を品目別にみると、船舶、携帯電話、自動車など主力品目の輸出が20%以上も減少した。特に、船舶は34・2%の大幅減少となった。輸出が増えた品目は、9%増のLCD(液晶表示装置)と繊維類だけにすぎない。
地域別には、日本とEU(欧州連合)向け輸出の落ち込みが大きい。対日輸出は9・6%、対EU輸出も9・3%減少した。また、最大輸出先の中国向け輸出も5・6%減少した。中国はEU市場に大きく依存しており、EUの不況の影響を強く受けている。このため、輸出用中間財などの対韓輸入を減らしている。相対的に堅調な対米輸出も小幅ながら2・1%減少しており、主要輸出先が軒並み不振に陥っている。
一方の輸入は、輸出を上回るペースで減少が続いている。特に、8月は9・8%減の409億3000万㌦にとどまった。これは10年2月(364億㌦)以来の最低値だ。
昨年の輸入は23・3%の高い伸びを示した。だが、今年に入って3月に1・2%減少して以来、8月までマイナスが続き、回復の見込みがない状況だ。内需不振で中間財や消費財の輸入が急減している。
政府は当初、今年の輸出が7・2%増え、貿易収支が250億㌦の黒字になると予想していたが、大幅な修正が避けられなくなった。知識経済部は「全世界的に景気が悪化しており、急激な輸出増加は期待できない」として、マーケティング強化、貿易展示会、使節団派遣などの短期対策を進めているが、先行きは不透明だ。
貿易収支は20億4000万㌦の黒字を記録、2月以来7カ月連続の黒字を続けている。問題は、貿易の大幅な縮小が韓国経済全般に大きな影響を及ぼす点だ。政府は、年初の5%台成長を3%台に下向き調整したが、それも達成が危ぶまれている。韓国経済研究所が2%台に低下すると予測するなど研究機関の見通しも厳しくなっている。