韓国が低成長時代に入った。主要機関が今年の経済成長率を軒並み2%台に引き下げた。特に、韓国銀行の予測値は2・4%と最も低い。世界経済の停滞が長期化し、輸出とともに内需も冷え込むなど影響が広がっており、金利も引き下げた。問題は、過去に低成長からのV字回復を果たしたが、今回は回復に時間がかかりそうな点にある。海外要因だけでなく、輸出依存の経済構造の歪みが大きくなっていることが背景にある。
韓銀は、今年の成長率予測を昨年末の3・7%から今年4月に3・5%、7月に3・0%、そして今回2・4%と何度も引き下げてきた。IMF(国際通貨基金)やKDI(韓国開発研究院)などのシンクタンクも2%台に下方修正した。世界経済の沈滞が長期化し、影響が広がっているからだ。
実際に経済活動は萎縮している。8月の産業活動動向をみると、鉱工業生産、小売り、設備投資はいずれも0・7%、3%、13・9%のマイナスだった。輸出も9月がマイナス2%で、3カ月連続減少している。
韓国は過去15年間に3%以下の低成長を4度経験した。①通貨危機直後の98年にマイナス5・7%②カード負債が社会問題化した03年に2・8%③世界金融危機に直面した08年に2・3%、翌09年に0・3%だ。だが、長期沈滞に陥らず、いずれも早期回復を果たした。
金仲秀(キム・チュンス)・韓銀総裁は、来年には3・2%に回復すると予測。「世界経済の状況を考慮すれば悪くない」と語ったが、今回はV字回復は期待できないという分析が多い。世界経済の沈滞が長期化する中、韓国経済は輸出・内需とも不振に陥り、家計負債の累増と不動産価格の下落など構造的な問題を抱えているからだ。
韓国経済は成長率が1%落ちれば、雇用が7万人減り、税収が2兆ウォン減少するなど経済全般への影響が大きい。
問題はこの低成長が今年だけの問題ではない。輸出依存の経済のため、輸出産業に比べ内需産業が脆弱だったが、ここにきて産業間の二極化が深刻化している。サービス産業を育成して内需産業を活性化させる必要性が高まっている。
また、民間消費と企業投資を活性化させる需要拡充策も急がれる。市中に流動性は少なくないが、投資、消費に向かう動きが鈍い。金利引き下げなどの金融政策だけでは限界があり、思い切った経済活性化対策が求められている。