開発途上国の温暖化対策を支援する新国際機関「グリーン気候基金(GCF)」の事務局設置を決める理事会で、仁川市の埋立地に建設された松島新都市が選ばれた。仁川市の国際会議施設「松島コンベンシア」で理事国24カ国による投票が行われ、韓国は最有力候補のドイツを抑えて誘致に成功した。GCF加盟国は約190カ国で、環境分野の世界銀行と位置づけられている。主に先進国が資金を提供、これを途上国に支援する方式で運営される。
今回の誘致競争には、韓国をはじめ、ドイツ、スイス、メキシコ、ポーランド、ナミビアの6カ国が名乗りをあげていた。投票は最低得票国が脱落する方式で行われ、最後に残った韓国の松島とドイツのボンの間で決戦投票となった。
得票結果は非公開だが、韓国が逆転に成功したのは、①国際社会で高まった韓国の存在感②環境と経済成長を両立させるグリーン成長への努力などが評価された。
GCFは、開発途上国の温室効果ガス削減や気候変動対策の支援に取り組む新機関。2010年にメキシコで開かれた国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)で創設に合意。20年までに総額1000億~8000億㌦の基金を設立する計画だ。基金の規模に大きな開きがあるのは、途上国と先進国の間で溝があるからで、正確な額は来月末にカタールで開かれるCOP18で決定する見通しだ。
GCFの理事会は先進国と開発途上国、それぞれ12カ国で構成。理事の任期は3年。今年8月にスイスで第1回理事会を開き、松島で行われた理事会は2回目。松島に設置されるGCF事務局は行政をはじめ、基金活動の成果報告の準備、履行機関との契約準備、モニタリングや評価などを行う。
GCFは、途上国のグリーン成長に資金を投入する強い権限を持つことになる。来年から業務を開始する予定で、スタッフは世界から派遣される500人程度で出発し、人員を拡大する予定だ。
世界に支援を行う国際機関が韓国に事務局を置くのは、GCFが事実上初めて。特に、今世紀の世界的課題である気候変動やエネルギー問題の解決をテーマにしており、意義は大きい。
韓国は、今回のGCF誘致成功で、IMF(国際通貨基金)や世界銀行の本部誘致に匹敵する効果を期待している。特に、アジアではこれほど大規模な国際機関を誘致した都市は韓国が初めてで、イメージ向上にもつながる。朴宰完(パク・チェワン)・企画財政部長官は記者会見で、その経済効果について「超大型グローバル企業が韓国に進出するようなものだ」と述べ、気候変動対応やグリーン成長でリーダシップを発揮できる基盤を構築したと強調した。
松島新都市は、経済自由区域に指定されている。だが、現状は外国資本の誘致が思うように進んでいない。GCF誘致で世界有数の国際都市に躍進できる契機になった。松島新都市の未分譲マンションも相次いで売れる一方、海外からの投資問い合わせも増えている。
今回のGCF事務局の誘致成功について、欧州の代表からは「クーデターが起きた」との声が漏れた。GCFの仮事務所を置く環境先進国のドイツを破ったのだから韓国の大逆転に違いない。
青瓦台(大統領府)の金相浹グリーン成長企画官は「ドイツを支持していた国のうち5カ国以上が韓国支持に回った」と説明した。中国は当初から「環境関連の国際機関はアジアにあるべきだ」と韓国支持を宣言。日本も韓国を支持した。
メキシコのカルデロン大統領も、李大統領に対し「メキシコが脱落した場合には、他の中南米各国とともに韓国を推す」と約束。中南米とアフリカの国々も韓国支持が大勢となった。
南アフリカ代表は「韓国は地球上で最も貧しい国だったが、今はグリーン成長と発展経験を共有したい国になった」と韓国支援をアピール。欧州10カ国のうち3カ国も土壇場で韓国を支持した。