韓国がラオスのメコン川流域で大型水力発電所を建設する。建設資金の大半を韓国輸出銀行と韓国企業が出資する開発援助方式を採用しているのが特徴だ。ラオス政府から事業権を取得したSK建設が発電所の設計・施工を担当し、西部発電が運営と管理を行う。企業側が工事期間を含め32年間運営し、投資費用を回収した後にラオス政府に所有権を譲るBOT(建設・運営・譲渡)方式で進められる。この方式は、資金や運営能力に乏しい開発途上国のインフラ建設の方式として広がりそうだ。
事業の着工は来年5月の予定。ラオス南部のボーラウェン高原を貫くメコン川の支流にダム3カ所を建設し、電力を生産する「流域変更型」のセピアン・セナムノイ水力発電プロジェクトだ。発電容量は韓国の忠州ダム規模の410メガ㍗。完成後にラオスとタイに電力を供給する。
総事業費は10億㌦で、韓国が5億7500万㌦、タイが4億2500万㌦出資する。出資の仕組みをみると、まず3億㌦の出資金でダム建設の特殊目的法人(SPC)を設立する。出資比率はSK建設26%、西部発電25%、タイ電力会社25%、ラオス政府24%。ラオス政府出資分は輸出入銀行が全額肩代わりし、対外経済協力基金から7300万㌦を有償融資する。
次に、事業を担うSPCに対する7億㌦のPF(プロジェクトファイナンシング)を行う。PFは、特定事業からあがる予想収益をもとに融資することをいう。
輸出入銀行は、この7億㌦の半分、3億5000万㌦をADB(アジア開発銀行)と共同で融資する。残りはタイ国策銀行が行う予定だ。
PNPC(SPC法人名)代表は、「韓国の援助資金が入り、ADB、タイ国策銀行、韓国企業が参加する共同事業になった」と語った。
輸出入銀行は、国内企業が施工だけでなく、運営・購買を含む事業全般を主導する「投資開発型事業」を推進する金融に力を入れている。
また、途上国が発注したインフラ事業に対しては、対外経済協力基金資金と輸出入銀行資金を混合した「複合金融」で韓国企業の資金調達力を高め、日本や中国との競争に備える。
このような援助型輸出金融をベトナム火力発電所やエチオピア水力発電所なども検討中だ。