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2013/05/10

<総合>韓米同盟60周年・グローバルパートナーシップに格上げ

  • 韓米同盟60周年・グローバルパートナーシップに格上げ

    オバマ大統領(右)と首脳会談を行う朴槿惠大統領

 訪米中の朴槿惠大統領は7日(日本時間8日未明)、ホワイトハウスでオバマ大統領と初の首脳会談を行い、韓米同盟60周年を迎えた韓米関係を軍事・安保中心から政治・経済・文化・人的交流に至る幅広い分野に拡大したことを評価し、気候変動や開発協力などの地球規模の問題にも共同で対応していく「グローバルパートナーシップ」の関係に格上げした共同宣言を採択した。北朝鮮の挑発に対しては韓米が緊密に対応することを再確認し、朴大統領は非核化など北朝鮮の変化を前提に南北間の信頼関係を構築し、経済共同体まで構成するとした自身の「韓半島信頼プロセス」をオバマ大統領に説明し、支持を得た。

 両首脳はこの日、首脳会談、昼食、記者会見と2時間以上を共にした。実用重視のオバマ大統領は通常、各国首脳との会談を1時間程度で終えるが、今回昼食を兼ねた会談を採択したのは異例の歓待と受け止められている。昼食前の10分間、通訳なしで2人だけで散策するなど、和気藹々とした雰囲気に包まれた。

 両首脳が発表した「韓米同盟60周年記念共同宣言」は、今後の韓米関係の発展方向を示したもので、地球レベルの多様な問題にも共同対応する本格的なパートナーシップの関係構築をめざしている。会談では、中東のシリア問題なども協議された。気候変動問題や途上国の開発には共同で対応することになった。

 特に、未来の新成長エンジン創出やICT(情報通信技術)などの経済協力分野で拡大が強化される。両首脳は、まず新成長エンジンのための包括的なエネルギー協力を結ぶことで合意した。会談後に産業通商資源部と米エネルギー庁間で採択された共同声明には①シェールガス技術の情報交流②ガスハイドレート関連協力拡大③クリーンエネルギー共同研究開発④2014年に韓国で開催するクリーンエネルギー長官会議の協力などを盛っている。

 ICTについては、両国間の政策協議会を設立し、次官級会議代表が年例的に会談し、技術・情報・政策の交換を行うことに合意した。これを通じて、米国のICT情報を迅速にキャッチすることが可能になる。

 国民間の交流拡大のための政策も進められることになり、専門職のビザクオーター1万5000人分の新設と10月で満了する韓米大学生研修就業プログラムの5年延長に合意した。

 また、両首脳は韓米FTA(自由貿易協定)発効1周年を迎え、「FTAが経済成長のエンジンとして機能を果たせるよう忠実に履行する」との決意も表明した。

 青瓦台(大統領府)の尹昶重(ユン・チャンジュン)報道官は会見で、「韓米同盟は共通の価値観と信頼を基盤にした包括的な戦略同盟。安保・軍事同盟に、韓米FTA締結による経済同盟も加わった。社会・文化・人的交流など各分野の協力も深めていく」と話した。

 青瓦台側によると、韓米同盟が信頼に基づく同盟であることを再確認し、途上国に対する開発支援でも協力する「分かち合いと配慮」同盟も包括することになったという。尹報道官は「韓米同盟を、朝鮮半島にとどまらず北東アジアと世界的な問題、地球全体の幸福増進に努めるという名実相伴う『グローバルパートナーシップ』に発展させていくことで、両首脳は合意した」と説明した。

 北朝鮮に対する両首脳の基本的立場は、「挑発に対しては断固対応するが、対話の扉は開いておく」というもので、北朝鮮の態度変化を重ねて訴えた。

 朴大統領は会談終了後の共同記者会見で、「韓米首脳は、最近さらに強まっている北朝鮮の挑発と威嚇を決して容認せず、(挑発と威嚇が)北朝鮮の孤立を招くだけだということを確認した」と述べた。

 また、朴大統領自身が提唱する対話や人道支援を通じ南北の信頼構築を目指す政策「韓半島信頼プロセス」の履行や多角的な努力を通じて北朝鮮が正しい選択を行うよう、韓米両国が共同の努力を傾けることにしたと強調した。

 オバマ大統領は「朴大統領が明確にしているように、韓半島の非核化を含めた国際的義務の順守措置を取るべきは平壌だ」と強調。「ミャンマーのように貿易と投資を一層追求し、米韓を含めた世界各国と外交関係を結ぶべきだ」と促した。

 2015年末に予定している韓米連合軍司令官から韓国軍への有事作戦統制権移管については、「順調に進んでいる」と話した。

 一方、朴槿惠大統領は8日、米議会で英語で演説、名指しを避けながらも、「正しい歴史認識をもてなければ未来はない」と日本を批判した。朴大統領はオバマ大統領との首脳会談でも「東北アジア地域の平和のためには、日本が正しい歴史認識を持たなければならない」と強調。靖国神社をめぐる安倍晋三首相の発言や閣僚らの参拝など日本の右傾化の動きを批判した。


■韓米同盟60年記念共同宣言■

①韓米同盟は安保協力を超え、政治・経済・文化・人的交流など幅広い協力を基に戦略同盟に発展
②米国は拡張抑止と在来式および核戦力を含むあらゆる軍事的能力を含む、確固たる対韓防衛公約を再確認
③韓米FTAが両国経済の成長エンジンとして機能できるよう忠実に履行
④南北の信頼構築をめざす政策「韓半島信頼プロセス」などを通じ韓半島平和と繁栄を拡大
⑤韓米同盟はグローバルパートナーシップに発展しており、米国は世界で韓国がリーダーシップを発揮していることなどを歓迎