朴槿惠(パク・クネ)次期大統領は、中小企業政策を強化する方針だ。経済団体を相次いで訪問し、中小企業を重視する考えを再三明らかにしている。9日には大韓商工会議所を訪れ、中小企業に対する不公正、不均衡、不合理を解消していく考えを示した。昨年末に中小企業協同組合中央会を訪れた席では、経済構造を「大企業中心から中小企業中心に再編する」と表明、注目された。その一方で、財界の総本山である全国経済人連合会に対しては、「整理解雇の自粛」を要請した。このような次期大統領の言動を背景に、中小企業界では中小企業庁を部に格上げする要望が高まっている。
朴次期大統領は、大韓商工会議所で孫京植(ソン・ギョンシク)会長ら40人と懇談、「新政権は、成長の温もりが韓国社会全体に行き渡るような『温かい成長』を重要な基調と位置づけている。信頼できる政策で安心してビジネスに専念できるよう最善を尽くす」と表明。「中小企業が中堅企業、大企業に成長できるよう希望の好循環を生み出してこそ、韓国経済を先進経済に向かわせることができる」と強調した。また、規制を見直しビジネス環境を改善していくと約束した。さらに、「企業の社会的責任は投資と雇用」だとし、雇用の創出・維持に努めるよう求めた。
朴次期大統領は、大統領選挙勝利後、相次いで大企業総師と中小企業団体役員と面談したが、最初に訪れたのは中小企業側の中小企業協同組合中央会だった。その席で「中小企業大統領になる」とし、「そのため最初に来た」と切り出した。大統領選で当選した李明博氏が財界総帥に先に会い、「ビジネスフレンドリー」な政府を強調したのとは対照的だ。
朴次期大統領は、「9988」(全企業のうち中小企業の数が99%、労働者のうち中小企業従事者が88%)との数字を出し、中小企業の重要性を力説。経済構造を「大企業中心から中小企業中心に経済構造を再編し、新たな雇用を作る上で中心となるように支援する」と明らかにした。
また、「大企業が不当に納品単価を引き下げたり、中小企業が苦労して開発した技術を奪取して中小企業の領域を無分別に侵害する横暴や不公正取引を徹底的に根絶する」と約束した。
これら一連の発言は選挙公約にも掲げた「経済民主化」の一環だが、中小企業中心にどのように再編するのか、きわめて注目される課題だ。
朴次期大統領は続いて全経連会館を訪れ、財閥総帥らに「大企業が現在のように成長するまでには、多くの国民の後押しと犠牲があり国の支援も多かったため、国民企業の性格も大きいと考える。大企業の経営目標は韓国の共同体全体との共生を追求しなければならない」とし、整理解雇と過度な不動産買い入れなどを自制することを要請した。
許昌秀(ホ・チャンス)・全経連会長は、「学歴・性別・年齢の区別なく良質の雇用をたくさん作りたい。過去の誤った慣行を果敢に克服し公正で透明な市場経済を構築していく」と応えた。
こうした中、中小企業政策を担当する中小企業庁(次官級)を部に格上げする問題が浮上している。中小企業協同組合中央会は9日、政権引き継ぎ委員会を訪れ、中小企業部設立を盛った建議書を伝達した。中小企業庁も、部に格上げする必要性を報告することにしている。選挙公約には入っていないが、新政権の中小企業政策を占う上で重要なイシューになりそうだ。