朴槿惠次期大統領の政権引き継ぎ委員会は15日、現行の15部2処18庁から17部3処17庁に拡大改編した政府組織改編案を発表した。市場機能にすべてを任せず政府の権限と責任を強化し、新たに閣僚ポストを2つ増やした「大きな政府」になっている。新組織の最大のポイントは、経済運営のコントロールタワーとなる経済副総理を復活させ、科学技術全般を統括する巨大部署となる未来創造科学部を新設した点で、経済重視を鮮明にしている。この政府組織改編案は1月の国会で処理し、確定する見通しだ。
政権引き継ぎ委員会は、李明博現政権が廃止した経済副総理の復活について「経済危機の克服のため経済全般を統括するコントロールタワーが必要」と説明している。企画財政部長官が経済副総理を兼任し、マクロ経済と予算編成はもとより、新政権の核心課題である福祉、雇用、金融、通信、不動産政策などを統括することになる。
韓国経済は2~3%台の低成長時代を迎えており、100兆ウォンの福祉予算執行、経済民主化と二極化解消、雇用創出を推進するため、コントロールタワーとしての責任は重い。重量級の人材配置が求められる。
新設される2部署は、未来創造科学部と海洋水産部。未来創造科学部は朴次期大統領の選挙公約でもあるが、「科学技術ルネッサンス」を実現するスーパー部署になる見通しだ。情報通信技術を総括する巨大組織として、未来の成長エンジンの育成を推進する重要な役割を果たす。これまで各部署の管轄下にある科学技術関連のほとんどが移管され、予算規模は事実上20兆ウォンに達する。
金容俊(キム・ヨンジュン)・政権引き継ぎ委員長は、政府組織の改編について「国民の安全と経済復興という国政哲学と実践の意志が込められている」とし、未来創造科学部について「創造科学を通じて想像経済の基盤を構築し、成長エンジン発掘、雇用創出の役割を強化することになる」と強調した。
海洋水産部の新設も朴次期大統領が公約で掲げていた。5年前、現政権が発足した際に廃止された科学技術部と海洋水産部、情報通信部の機能が復活される形となった。海洋紛争に効果的に対処し、多様な海洋イシューで国益を守り、海洋分野の科学技術力を世界水準へけん引する役割も期待される。
知識経済部は、外交通商部で担当しているFTA(自由貿易協定)など通商機能が移管され、産業通商資源部に名称変更。これまで知識経済部が担当していた中小企業政策と地域特化発展企画機能は中小企業庁に移管され、中小企業庁の権限が大幅に強化される。
行政安全部は安全行政部に改編し、特任長官室は廃止する。保健福祉部所属の食品医薬品安全庁は国務総理室所属の食品医薬品安全処に格上げされて移管される。教育科学技術部は教育部に、国土海洋部は国土交通部に、農林水産食品部は農林畜産部に名称が変更される。
最優先課題として掲げている福祉のコントロールタワーは大統領、もしくは国務総理直属の組織として新設される社会保障委員会が担当する可能性が大きい。同委員会は社会保障制度の優先順位を決め、福祉財源の調達などを進める。保健福祉部や企画財政部、雇用労働部など10機関に分散されている福祉関連の政策を総括する見通しだ。