朴槿恵・次期大統領は国務総理以下18人の閣僚を指名し、新政府の組閣を完了した。権限強化が図られる国務総理に指名された鄭烘原(チョン・ホンウォン)氏のもと、玄旿錫(ヒョン・オソク)・KDI(韓国開発研究院)院長が経済副総理兼企画財政部長官として、経済司令塔の役割を担う。新内閣は国会の人事聴聞会での検証を経て最終確定するが、正式出汎は3月にずれ込む見通しだ。また、3室長・9首席秘書官からなる青瓦台(大統領府)人事も終えた。秘書室長に側近の許泰烈(ホ・テヨル)・前セヌリ党国会議員を起用するなど側近で固め、事実上の親政体制を敷いた。(2面に新閣僚名簿)
朴政権を支える内閣・青瓦台の核心メンバー30人の陣容をみると、ソウル出身が9人で最も多く、出身大学はソウル大(10人)に次いで成均館大(7人)が躍進した。また、職業別では官僚12人、学者7人の順で政治家は5人にすぎない。
閣僚で注目すべきは5年ぶりに復活する経済副総理と新設の未来創造科学部。経済副総理に内定した玄旿錫氏はマクロ経済の専門家だ。米ペンシルベニア大学で経済学博士学位を取得。1980年代末には世界銀行でエコノミストとして活躍した。財政経済部の国庫局長を最後にマクロ経済の総括官庁を離れ、韓国貿易協会の貿易研究所長やKDI院長など歴任。
元同僚の現職高官は「合理的で穏やかなスタイル。仕事の際には非常に慎重だった」と評した。
外交部長官候補に指名された尹炳世(ユン・ビョンセ)・元青瓦台統一外交安保首席秘書官は、盧武鉉政権で国家安全保障会議政策調整室長などを歴任した外交・安保通。南北の関係改善を図る「韓半島信頼プロセス」の基礎作りに携わった。
統一部長官には柳吉在(リュ・ギルチェ)・北韓大学院大学教授が内定。10年に朴次期大統領のシンクタンクとして発足した「国家未来研究院」の外交安保分野の発起人で、北朝鮮関連の研究学会としては韓国最大の北韓研究学会会長を務めている。信頼構築に焦点を合わせた南北間の対話と協力を重視。北朝鮮が強行した3回目の核実験後も、制裁を加えながらも対話と交流協力を途絶えさせてはならないとの考えだ。
産業通商資源部長官には尹相直(ユン・サンジク)・知識経済部次官が内定。政権交代期に内部昇進するのは同部初のことで、破格人事と評されている。尹氏は、エネルギー、投資、貿易など関連部門をすべて経験した実務型官僚。
保健福祉部長官に内定した陳永(チン・ヨン)・セヌリ党議員は国務総理候補にも名が挙がったほど朴次期大統領の信認が厚い。陳氏は「国民幸福を推進する上で社会福祉の行政的完成が最も重要だ」と語った。
農林水産畜産部長官に指名された李桐弼(イ・ドンピル)・韓国農村経済研究院長は、30年以上にわたり農業政策の研究と制度改善に当たった農政専門家。「規制改革で農業の職場を創出する」と強調。女性家族部長官に内定した朴次期大統領報道官の趙允旋(チョ・ユンソン)氏は2人の女性閣僚のひとり。大統領選挙の時、朴次期大統領の影武者のように随行した。外交・法律・金融などに明るいとされている。
青瓦台の秘書室長に指名された許泰烈・前セヌリ党議員は釜山出身で、ハンナラ党の最高委員と国会政務委員長を歴任した朴次期大統領の最側近。指名を受け「耳はあるが口はない」と第一声をあげ、「みんなが幸福な大韓民国をつくる国政哲学を成功裏に具現できるように補佐する」と語った。
国家安保室長には金章洙(キム・ジャンス)・元国防部長官、警護室長に元陸軍参謀総長の朴興烈(パク・フンリョル)氏がそれぞれ指名された。
3室長以外の9首席秘書官内定者は次の通り。
外交安保=朱鉄基(チュ・チョルギ)元駐仏韓国大使、政務首席=李貞鉉(イ・ジョンヒョン)・次期大統領秘書室長、国政企画首席=劉敏鳳(ユ・ミンボン)・成均館大教授、民政首席秘書官=郭尚道(クァク・サンド)・元検事、広報首席秘書=李南基(イ・ナムギ)・前SBSメディアホールディングス社長、経済首席=趙源東(チョ・ウォンドン)・租税研究院長、未来戦略首席=崔純洪(チェ・スンホン)・元国連情報通信技術局長、教育文化首席=牟喆敏(モ・チョルミン)「芸術の殿堂」社長、雇用福祉首席=崔聖載(チェ・ソンジェ)・ソウル大学名誉教授。